世界的プログラマーが日本社会に警鐘「このままだと8割が負け組」

 

ちなみに、「介護」のような仕事が、この手の「サービス」に属するのか、「看護師」と同じ「専門職」に属するのかは意見が分かれるところだと思いますが、ニーズは増えているし、簡単にロボット化の出来ない、重要な重労働なので、そんな人たちにはしっかりとした給与が支払われるような社会システムにしていくことはとても大切だと思います。

これが進んでいくと、世の中の2割の人が働いて価値を生み出し、残りの人たちは働かなくても良い、という世界が来るように私には思えます。

そんな世界に向けて、子供達にはどんな教育を受けさせるのが良いのか、本当に誰もが大学を目指すことに本当に意味があるのか(日本の大学・短大進学率は6割弱)、社会保障はどうあるべきかなどを、今のうちからちゃんと考え、議論し、準備しておく必要があると思います。

結局のところは、ユニバーサル・ベーシック・インカム(国民全員が生活に必要な最低限のお金を国からもらえる制度)を導入し、それをセイフティ・ネットとした上で、子供達に多くの刺激を与えて、その中で一つでも二つでも「好きなこと・得意なこと」を見つけてもらうことが大切だと思います。

そして、それが必ずしも高収入の職業に繋がるとは言えなくても、それをとことん追及できる教育制度を作り、それぞれの人が充実した人生が送れるような社会を作るべきだと思います。

全員が一流大学から大会社の正社員を目指し、それに失敗したら「負け組」という不公平な社会は、日本の高度成長期に作られた遺物で、さらなる二極化が進むと、人口の「8割が負け組」というとても住みにくい世の中になってしまいます。今回の新型コロナは、そこから脱却する良い機会だと思います。

image by: Ned Snowman / Shutterstock.com

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マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。IT業界から日本の原発問題まで、感情論を排した冷静な筆致で綴られるメルマガは必読。

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