探るべき「引きこもり」の「部屋の中にいたままでいい」就労支援

 

オンライン上でのコミュニケーションが確立できても、それは「引きこもり」なのだろうか。障害者の就労支援をしていて、障害者の起業を支援したことは、福祉サービスの「支援」とはならず、あくまで企業や組織に就労させることが就労であるとの見解をもらった時、サービスの制度全体が「枠組み」の中に落とし込んだうえで運用することが求められているようだ。

この基準から考えれば、「引きこもり」という人たちは、社会で生産活動をする人との狭い範囲に入らなければ、すぐに社会的な引きこもりと言われそうで、それは少々恐ろしい風景である。福祉制度を使わなければ、引きこもりの方々と行政の接点はないから、必要な支援にまで届かないケースも多いと思われる。

引きこもりを支援する場合でも、行政サービスはサービス受給の条件や文言の定義が必要であり、それを忠実に守ろうとする行政の生真面目さも重なり、なんとも窮屈な「支援」になってしまう傾向がある。このような日本の支援環境の中で、引きこもりは、精神的に閉じ込められていた方々という特性を踏まえて、「外に出ること」を支援の前提にせず、「部屋の中にいたままでいいから」できる支援を考えたほうが現実的である。

自由につながり、そのつながりを強め、さらに広げるというプロセスで臨むのが合理的だ。この「今のままでつながる」スタイルをみんなの大学校でも確立できないかを思案中である。

引きこもりの方の中には、ウエブ上でもほかの人としゃべるのも嫌だという人もいる。社会なんか「くそだ」と毒づくケースもある。社会を嘆きたくなる気持ちも共感できるし、それを共有できないかを常に考え、一人でも入れるコミュニティをウエブ上で作るべく、こちらもみんなの大学校で準備中である。コンセプトは「誰も責めない場所」。責められる社会から離れ、安全な場所を確立したい。

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特別支援教育が必要な方への学びの場である「法定外シャローム大学」や就労移行支援事業所を舞台にしながら、社会にケアの概念を広めるメディアの再定義を目指す思いで、世の中をやさしい視点で描きます。誰もが気持よくなれるやさしいジャーナリスムを模索します。

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