二階氏が目指す「幹事長続投」。八方美人ぶりでポスト安倍を手玉

2020.07.16
by tututu
二階幹事長
 

新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない中、「Go Toキャンペーン」をめぐり批判を受けている政府自民党。その一方で、党内の最高権力を握る二階俊博幹事長が、今慌ただしく動いている。ポスト安倍と呼ばれる次期総理大臣候補たちや、党の重鎮たちとの会食を頻繁に行っているのだ。ポスト安倍候補の“二階詣で”であるだけではなく、その裏には二階氏のある思惑が浮かび上がってくる。それは二階氏の「幹事長続投」だ。

二階幹事長の動きが活発化

二階氏は15日夜、銀座のステーキ店で麻生太郎副総理兼財務相らと会食。二人だけではなく、二会派、麻生派から複数議員がそれぞれ参加したという。過去には麻生氏の地元・福岡県知事選挙で対立をするなど、決して良好な関係ではない二人。二階氏と麻生氏はお互いにけん制し合う仲といって良い。

そんな両氏が何を話し合ったのか? 15日付の時事通信は、会食に参加した二会派の河村建夫元官房長官の話として、「立憲民主党と国民民主党の合流の動きに話が及んだものの、衆院解散・総選挙の時期や自民党役員人事は話題に上らなかった」と報じている。もちろんそれはただの表面的な話だろう。お互いの腹の内を探りながら、二階氏の狙いは自身の存在感を高めることにある。

ポスト安倍候補者たちと二階氏の思惑

ポスト安倍の候補者たちも続々と二階氏との接点を持ち始めた。すでに大きく報じられている通り、安倍内閣とは距離を置いてきた石破茂元幹事長が9月に予定されている自身の政治資金パーティーに、二階氏の講演を依頼。明らかに次期総裁を睨んでの二階氏へのすり寄りにほかならない。

それに対し、二階氏は「石破氏は将来さらに高みを目指して進んでいただきたい期待の星」と持ち上げるなど、お互いを利用し合おうとしている構図が見えてくる。

また、新型コロナウイルスの対応をめぐって隙間風が吹いていた岸田文雄政調会長とも、今月2日夜に会食をしている。二階、岸田両派閥のメンバーが集い、党運営を巡って意見を交わしたとみられる。今やすっかり影が薄くなってしまった岸田氏だが、次期総理大臣の座を狙う一人。ポスト安倍として後方支援が欲しい岸田氏、幹事長の座を死守したい二階氏、お互いに良い距離感を持っておきたい思惑があるだろう。

二階氏は「トップを目指すのだから。前途洋々、次に期待する」とこちらも岸田氏を持ち上げた。

ポスト安倍や政権中枢だけではない。二階氏は下村博文選対委員長や稲田朋美幹事長代行を中心とする議連の会合にも参加するなど、まるで党内の全方向を味方につけようとしているようだ。

二階氏が目指すのは幹事長続投

二階幹事長の任期は今年の9月まで。自民党の幹事長は党の人事と資金を一手に握る。選挙の候補者調整も事実上は手の内にあり、二階幹事長がそのポストを手放すはずがない。総理の次のナンバー2のポジションであり、その権限は絶大だ。

このところの二階氏の活発な動きは、まさに役員人事で幹事長を死守することにある。それぞれの利害が錯綜する自民党。しかし、党内争いだけではなく、新型コロナウイルス対応も同じ熱量でやっていただきたいものだ。

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