女子中学生の小さなSOS。教師も見ぬふりの「いじめ」から子を守れ

 

本人から発信されない「いじめ」に気付けるか

訪問した日の午後、たまたま体育の授業があり、グラウンドでミニラグビーをしているというので、生徒から見られない位置から見学することにしました。中学校は、男女別に授業を行います。2クラスの女子たちがプレイをしていました。その状況を観察して、スクールカウンセラーと私は無言で顔を見合わせ、うなずきました。彼女の状況の一端が理解できたのです。

彼女がなんどもなんどもパスを受ける体勢をとってボールを待っていたにも関わらず、女子生徒たちの誰一人、彼女にボールを渡す子はいませんでした。それでも、健気に彼女は走り回っていました。なんと悲しいことか、集団シカトされていることが推測できました。

一方で彼女は、ほぼ毎日登校していました。そこから、

1. 本人自身は学校で学びたいこと
2. 自分の情況や思いを言葉に出して表現できる術を持っていないこと
3. どうしたら良いかわからず、身体的にSOSを出していること

などが分析できました。たしかに家庭では、親が忙しく本人に向き合えない側面はありました。しかし、大きな問題は家庭ではなく、学校という場所にありそうです。大人との関係ではなく、子ども同士の関係において、問題を抱えていることが推測できました。

簡単に言うと、私たち、外部の人間から見ると、これは「イジメ」なのではないか、と思ったわけです。内部の先生たちは気が付いていなかったのでしょうか、多分、気が付いていた方もいたと思います。けれども、「本人がイジメだ」と言わなければ、イジメとして扱わないという考え方が邪魔をして先に進めないでいたのです。直近の対処療法として、本人のメンタルを改善するしかないように思われました。毎日、登校するので、不登校ではないので、学校としては、手の打ちようがなく困惑していたのです。

結局、学校が良いと思えるクリニックへの受診やカウンセリングの継続は、本人が苦しいことを取り除くための解決には結びついていないことは明らかでした。

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