女子中学生の小さなSOS。教師も見ぬふりの「いじめ」から子を守れ

 

まずゴールを決め、そこに向かって何をしていくか

私たちは、学校と話し合って、その子にとって一番良い「ゴール」を定め、共有しました。それは、「落ち着いて教室にいられるようになる」ことです。とても難しいことです。ストレスフルな環境のまま、どう介入していくか検討しました。

私たちは、ご提案をさせていただきました。先生方も授業がありますし、部活もあります。ですから、四六時中、寄り添うことはできません。そこで、

1. ランチ時間の個別サポート
2. 定期的な授業時間の校内巡回、そして
3. 登下校時の寄り添いを私たち派遣された人間がサポートすること

を提案したのです。私たちがしばらくこの学校に通勤することになったことにして、本人の自尊感情を大切にする形で、彼女を案内係としてつけてもらうことにしました。本人には、私たちの案内役として、ランチ時間に私たちと一緒に食事をとること、登下校時は、防犯パトロールのために公園などの場所を案内してもらうことを伝えて了承を得ました。やわらかい表現ながら、「もうトイレで食事は絶対させない」という強い決意をしたわけです。

さっそく、私たちはランチを体育館入口前のオープンスペースをお昼の場にしました。しばらくすると打ちとけるにしたがって、少しずつ会話がはずむようになりました。でも、最初は周囲の目を気にして、他の生徒が近づいてくる足音がするだけで身をすくめたりしていました。できるだけリラックスできるよう会話を心がけました。トランプをしたり、コラージュをつくったりもしました。ある日、足を止めた上級生の女の子にも仲間に入ってもらいました。

登下校時も、私たち大人が寄り添うようにしたところ、小学校時代に友達だった他のクラスの女の子たちが集まってきて集団で公園を見回ったり、時には、道草して、追いかけっこをしたりすることができるようになりました。もう、独りぼっちではなくなったのです。

授業巡回することで、ミニラグビーやサッカーの授業では、大人の目を意識してか、パスが回るようになりました。最後まで、彼女自身はイジメや集団シカトされていた、とは口にしませんでしたが、それでも少しずつ教室にいられる時間は確実に増えてきました。そして半年が過ぎました。

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