2020年秋の中国を襲う「食糧不足」は日本と世界を混乱に巻き込むか?

 

米大統領選挙

トランプ大統領は、ラストベルトの白人有権者と福音派の支持を強固にするために、内政・外交政策を変えてきている。1つには対中強硬政策にシフトした。この政策ではラストベルトの白人層の支持を得ることができる。

沿岸州のサービス産業労働者への過度な給付金を止め、貧困層やサービス産業労働者の投票を阻止するために郵便投票拡大を阻害している。

もう1つが、中東政策で、UAEとイスラエルの国交正常化の仲介を行い、福音派の支持を得ることができた。イラン・シーア派が強くなり、劣勢のスンニ派とイスラエルを同盟関係にして対抗させるということである。これに対して、イランは同国領海にいたUAEの漁船を拿捕したように、イランとUAEの間で緊張が高まっている。

そして、米国は、スンニ派とイスラエル関係ができた時点で、アフガニスタンとイラクから米軍は引き上げるようである。

コロナ対策では、集団免疫という考え方で、コロナ対策をしない方向を志向するようである。そのかわり、ワープ・プロジェクトとして、ワクチンの完成を急がせることにした。経済の落ち込みを最小限に抑えたいが、結果はコロナ感染拡大で、経済的な落ち込みも大きい。マスクは個人の自由と言うことで感染拡大したが、それは集団免疫を作るには良いと主張している。

一方、ジョー・バイデン前副大統領は、党の大統領候補として正式指名を受諾した。受諾演説でバイデン氏は、「米国暗黒時代の終わりは今晩ここで始まったと、歴史が言えるように」取り組んでいくと約束した。

まず、バイデン候補は、コロナ感染拡大をトランプ大統領の責任として非難しているが、感染拡大対策として、専門家の意見に基づき、迅速な検査体制を含む国家戦略づくりを約束した。また、中国との軍事的な対決はするが、経済関係では協調していくという。

もう1つが、環境インフラやIT部門などに3兆ドル(約320兆円)近くを充て、1930年代のニューディール政策以来の大規模投資を公約する。

また、格差是正のために、富裕税を取り、法人税も元に戻すという。ウォール街には厳しいことになっている。バイデン大統領になったら、株価は大幅な下げを記録しそうである。

このためか、民主党大会のテレビ視聴率は、非常に低く、盛り上がりに欠けていたようである。トランプ対バイデンの支持率も、一時より接近してきた。

コロナ感染での重症者拡大

大阪府は、19日現在の重症者が60人で、重症用病床の使用率が31.9%となり、跳びぬけて多い。家族内感染が多く、高齢者への感染を引き起こして、第1波の時より重症者が多くなっている。

このため、高齢者やその家族、利用先の施設職員らに、早めに検査を受けることなどを呼びかけている。

全国でも、19日時点の病床の使用率は、沖縄、福岡など7都府県で40%を超えている。特に沖縄の使用率は71.1%でひっ迫している。

日本人全員に免疫があり、コロナは風邪と同様で、60歳以上の感染でも軽症だと主張してきた評論家は、この状況をどう評価するのであろうか?

しかし、事実は、60歳以上の人では注意が必要であるとわかる。死亡者数も毎日10人以上になってきた。

接触確認アプリCOCOAで、接触ありとの通知を受けてもPCR検査を受けられないと7割の人が言っているが、厚労省はアプリで通知を受けた場合、希望者全員が無料でPCR検査等を受けられるようにすると、非難が出たことで対応を変えている。

しかし、感染の可能性がある人でも検査が受けられないという日本のPCR検査を絞る予防策が、感染を拡大させているとも見える。

韓国は可能性がある人達全員を検査して、早期に感染拡大を止めているのとは、対照的である。このため、韓国経済は、あまり落ち込んでいない。

日本は検査を絞り感染拡大で、60歳以上の人の行動を自粛させて、日本経済を縮小させている。日本人全員に免疫があるので心配ないということが、日本経済を縮小させる原因になっている。

このことを認めて、路線を変更することが日本沈没を免れる道と見る。勿論、検査を可能性がある人全員に行うことである。

コロナ分科会は、全国的には感染のピークに達し、7月下旬が感染のピークと位置付けられるという。これから重症者と死亡者が増える時期になる。第1波と同様な傾向であり、第2波時点でコロナの弱毒化も日本人全員に免疫ができたこともない。事実が示している。

さあ、どうなりますか?

image by: 360b / Shutterstock.com

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