「なんちゃって5G」に待ったをかけたドコモは、孫正義に敗れ去るのか?

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巷で話題の「5G」スマホですが、KDDIやソフトバンクは、今年の秋の省令改正によって、4G向け周波数帯で5Gスマホを収容できるようになる技術を用いて5Gエリアを広げるようです。その動きに「待った」をかけたのが、他ならぬ「NTTドコモ」でした。今回のメルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』では、著者でケータイジャーナリストの石川温さんが、ドコモの「なんちゃって5G」牽制の動きを紹介しつつ、マーケティング的な戦略が見えないドコモの行く末を案じています。

NTTドコモが「なんちゃって5G」を優良誤認になると牽制━━新周波数帯だけで「5Gエリア競争」に勝てるのか

 8月25日、NTTドコモは「5Gネットワーク展開戦略」をテーマにした記者説明会を開催した。

今秋、省令改正によって、4G向け周波数帯で5Gスマホを収容できるようになる。KDDIやソフトバンクは、クアルコムやエリクソンが展開する技術である「DSS(ダイナミックペクトラムシェアリング)」を用いて、一気に5Gエリアを広げていくものと思われる。

そんななか、NTTドコモは「制度化に賛同」という立場を示しつつも、「なんちゃって5Gは優良誤認につながりかねない」として、他社に対して牽制して見せた。

「5Gエリアと表示されていても、周波数帯は変わらないので、4Gと同等もしくはそれ以下の速度しか出ないのはユーザーに対して不誠実だ」というわけだ。

NTTドコモとしては5G用に割り当てられた新しい周波数帯で、5Gのネットワークを構築していくのが基本とした。また、NTTドコモのPREMIUM 4G(懐かしい)は国内最速であることもアピールされた。

ただ、この話を聞いて思い出したのが、10年近く前のことだ。NTTドコモがiPhoneを取り扱い始め、4Gが出始めたころ、3社で同じiPhoneで比較できるということもあり、各メディアがこぞって「iPhoneで4G LTEのエリア、速度チェック」を記事にしたのだった。

山手線や新幹線などに乗り、あちこちのホームや駅前で「4Gが入るか」「速度はどれくらいか」というチェックをして、ひたすら記事にしていた。

KDDIは3Gから4Gへの移行に焦っていたこともあり、800MHzで4G LTEを全国展開。エリアの広さをアピールしていた。

一方、NTTドコモは「3Gネットワークはまだまだ速い。地方などは3Gネットワークで十分であり、4G LTEは混雑しているところを中心に展開する」みたいなスタンスであった。

しかし、4G LTEがつながる場所の比較において、KDDIやソフトバンクのエリアの広さが際立つなか、NTTドコモが他社に比べて見劣りする状況になりつつあった。結局、NTTドコモは3Gネットワークに依存することなく、急遽、方針転換して、4Gネットワークの全国展開を急いだのであった。

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