国民無視と「後ろめたさ」安倍前総理の辞任劇が憲政史上最低な理由

 

総理には明らかに後ろめたいところがあったのである。言うまでもなくそれは総理大臣連続在職日数歴代最長記録である。ただこの記録欲しさに辞任のタイミングを遅らせたのである。事実、記録達成日は8月24日、辞任の意向を表明したのは8月28日のことであった。こんなにも露骨にせざるを得ないほど「予断を許さない」状態だったことがよく分かる。

それにしても一国のリーダーが個人の栄誉のためだけに国家あるいは国民を2カ月もの間「大切な政治判断を誤る」かもしれない状態のまま放置したのは大問題である。この一点において、憲政史上最低の身の引き方と断じるのである。

本当は記録更新を目前にしながらの辞任というのが一番カッコ良かった。どんなに偉大な記録であっても所詮は個人のこととして、国家国民のためならそんなもの軽く手放せるような、そんな人物であって欲しかった。

この事実を歴史は記述しなければならない。安倍総理の歴代最長記録を語る時、この暗部を決して忘れてはならないのである。

それにしても、この2822日もの間、一度も選挙に勝てなかったどころか一矢を報いることすらできなかった野党はどうにかならぬものか。さらに「自民党に人なし」ということを露呈することになった与党も大概と言えば大概である。日本の憲政、民主主義とは所詮はこんなものかと思う時、天を仰ぎたくなる人の気持ちがよく分かるのは自分だけだろうか。

image by:Drop of Light/Shutterstock.com

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ここにあるエッセイが『8人ばなし』である以上、時にその内容は、右にも寄れば、左にも寄る、またその表現は、上に昇ることもあれば、下に折れることもある。そんな覚束ない足下での危うい歩みの中に、何かしらの面白味を見つけて頂けたらと思う。

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