Uberが良い例。「異業種に参入しDXで制圧する」シリコンバレー流仕事術

 

先日も、廃品回収業者向けの配車管理ソフトウェアを作っているベンチャー企業の経営者と会いました。廃品回収業はとても旧態依然とした業種なので、ソフトウェアの導入により効率化が可能なことは分かりますが、それだけでは、作り出す価値が小さく、大きなビジネスに育つとは思えませんでした。本気で廃品回収業界にDXを起こしたいのであれば、自らがソフトウェアを武器とした、全く新たな形の廃品回収業を立ち上げるべきだと感じました。

私自身も「おもちかえり.com」というレストラン向けのサービスを無料で提供していますが、個人経営のレストランがソフトウェアを導入するには色々と障害があります。もし、「おもちかえり.com」を事業化するのであれば、自らがレストラン業に場所を貸す不動産業をやるべきだと私が考え始めているのはそれが理由だし、それこそが、まさに「フルスタック・スタートアップ」の発想なのです。

レストランの例が分かりやすいのですが、ソフトウェアを導入するのであれば、厨房の中のワークフローを根本的に変えてこそメリットが大きいし、顧客に提供する体験や価値も、従来型のレストランと大きく異なるものになるべきなのです。

「既存のレストランにソフトウェアを提供する」という発想である限り、ソフトウェア・エンジニアに出来ることは限られていますが、ソフトウェアを最大限活用して飲食業を自ら営む、もしくは、飲食業向けの不動産業を経営する、と考えると、出来ることの幅は大きく広がるし、業界全体に大きなインパクトを与えることが可能です。

image by: Shutterstock.com

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マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。IT業界から日本の原発問題まで、感情論を排した冷静な筆致で綴られるメルマガは必読。

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