【書評】元中国人が暴露。中国共産党と国民が交わした「悪魔の契約」

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米中覇権争いから香港問題、そしてアジア諸国との緊張状態など、まさに四面楚歌、内憂外患とも言える状態の中国。この習近平独裁の中国共産党支配を中国の国民はどう見ているのでしょうか。無料メルマガ『クリエイターへ【日刊デジタルクリエイターズ】』で編集長の柴田忠男さんが今回取り上げているのは、元中国人の評論家・石平(せきへい)さんが語る、習近平政権の内部事情を暴いた一冊です。何も文句を言わない中国人が中国共産党と交わした、「悪魔の契約」とは?

偏屈BOOK案内:石平『アメリカは絶対許さない! 「徹底抗戦」で中国を地獄に導く習近平の罪と罰』

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アメリカは絶対許さない! 「徹底抗戦」で中国を地獄に導く習近平の罪と罰

石平 著/ビジネス社

また長いタイトルだ、石平さん。いまの習近平政権はまさに四面楚歌、内憂外患の状況であるが、「そのかなり多くの部分は当然、習主席自身の指導者としての暗愚さに由来することである」とズバリ。政治、経済、外交のすべてを自分の独占事項にして、一人ですべてを決める。真っ当な批判や意見を聞き入れず、側近とイエスマンの甘い言葉しか耳を傾けない。強大な独裁者の習近平を、誰も諫めることができない。

習近平という愚昧な指導者の下で、中国はますます国運が傾いている。中国を地獄に導くのは習主席その人であり、さらに悪いことには政権内で救国のために「亡国の君」習近平にとって代わろうとする人物もいない。他の大物たちは、習主席の失敗と失策を冷ややかな目で見て、楽しんでいるだけであるようだ。

習近平個人独裁政権内では、彼一人が政治・外交・経済など多方面にわたりすべての決定権を握っている。彼の決断なしには何も決まらず、動けない。裏返して言えば、習主席は自分が下したすべての決断に責任を持たねばならないという苦境に陥っている。かつての毛沢東独裁と比べて、もうひとつ大きな欠陥がある。毛沢東には周恩来という非凡な能力を持つ首相がいたが、習近平にはいない。

毛沢東体制下の周恩来は毛沢東の権威に絶対的に服従しながら、首相として経済・外交の運営実務を一人で担っていた。1972年の田中角栄訪中の際、田中首相との難しい交渉も喧嘩もすべて周恩来が担当し、それら全部がまとまって後に、毛沢東が出てきて角栄と会い「大所高所」の話に興じた。もし、日中交渉が不首尾に終われば、当然周恩来一人が全責任を負うことになったはずだ。

周恩来のような偉大な忠臣がいたからこそ、毛沢東独裁政権は彼が死ぬまで27年間も続いたのである。習近平には周恩来がいない。側近のイエスマングループしかいない。そして、習近平と李克強はかねてよりの犬猿の仲だ。李克強首相は習近平のために難題の解決にあたることもなければ、泥をかぶることも絶対にせず、すべて習近平任せ。こんな不安定な政権が続くのが不思議である。

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