人工知能(AI)を使った「ディープフェイク」と呼ばれる技術を使い、アダルトビデオの出演者の顔を女性芸能人に変えて掲載したまとめサイトを運営していた男3人が19日、警視庁に逮捕された。9月に動画の作成者を初めて逮捕したが、サイト運営者が逮捕されるのは初めてだと毎日新聞などが報じている。
「ディープフェイク」でサイト運営者が逮捕
逮捕された容疑者は「芸能人本人ではないと記載しており名誉を毀損していない」として否認しているが、女性芸能人6人の名誉を傷つけた疑い。
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3人は広告収入を得るために、芸能人のディープフェイク動画の650本分のURLをまとめサイトに掲載し、10か月で100万円以上の収入を得ていたという。
ポルノサイトに増え続けるディープフェイク動画
ディープフェイクをめぐっては、世界中がその対応に追われている。
フェイスブック社はことし、ディープフェイクの一部を削除する方針を打ち出した。しかし、表現の自由としてどこまで捉えるかの判断は難しく、限定的な規制にとどめている。
ディープフェイクを悪用した動画は増えていく一方で、毎月1000本物ディープフェイク動画がポルノサイトにアップされているという見方もある。
「XVIDEOS」「XNXX」「XHamster」など、世界的に知られている有名なポルノサイトでは、ディープフェイク動画の再生回数は膨大な数になっている。これらのサイトには主に海外で活躍する有名女優やアーティストなどのディープフェイク動画が公開されているが、日本の女性芸能人のものもいくつか見られる。
今回の逮捕を受けて、一般社団法人日本音楽事業者協会(音事協)は同日、捜査に全面的に協力していたことを発表。今後も根絶へ向けて取り組むとしたと東京スポーツが報じている。
しかし、ディープフェイクの被害者は有名芸能人だけではない。素材となる動画があれば作成できてしまうことから、一般の女性たちにも拡大している。
表現の自由という側面は大切だが、国を挙げて対策を講じるべきではないか。何もしていない女性が性的被害を受けてしまうのはあまりにもやるせない。
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