自民党の下村博文政調会長は30日、菅義偉首相と首相官邸で会談し、来年1月までの観光需要喚起策「Go To トラベル」について、ゴールデンウイーク直後ごろまでの延長を求めたと時事通信が報じている。新型コロナウイルスの感染が拡大する中、逆光する形となるこの提案は物議を醸しそうだ。
GWまで延長される「Go To トラベル」
下村政調会長は政府が検討している、2020年度第3次補正予算案に関する追加の経済対策について、新型コロナウイルスの感染状況を踏まえた見直しを行いながら延長するよう、菅首相に提言した。
その他にも、脱炭素社会の実現に向けた研究開発に取り組む企業を支援するための基金の創設なども盛り込まれており、この提言に菅首相は、「提言を踏まえて対応していきたい」と応じたという。
全国各地で感染者数が増える中、「Go To トラベル」を中止するどころか、菅政権は期間延長をするという方針を取りそうだ。
菅首相は25日に行われた衆参両院予算委員会の集中審議で、Go To事業が完成を広げた反省はあるかとの野党からの質問に対し、「(Go To トラベルが)主要な原因だというエビデンスは存在しない」と反論。その上で、「地域経済を支える中で、極めて有力」だとも語り、多くの効果が出ているとしていた。
Go To事業をめぐるトラブルが多発
一方、「Go To トラベル」を利用したように装い、地域共通クーポンをだまし取ったとして28日、警視庁は神奈川県藤沢市の職業不詳、相田卓也容疑者(30)を電子計算機使用詐欺容疑で逮捕した。
宿泊する意思がないのに、嘘の住所や氏名で大手旅行サイトから都内のホテル4カ所を予約し、地域共通クーポン計約54万円をだまし取った疑い。こうした被害の摘発は全国初となる。
また、飲食店の支援策「Go To イート」で、店側が客を装って自分の店をネット予約し、架空の実績を基にポイントを不正に得ようとしたケースがあることがわかったと共同通信が報じている。
農林水産省によると、予約サイト側には不正検知の仕組みがあり、検出例が複数報告されたという。
事前の対策で防げた場合がある一方、すり抜けたケースもあるとして、大量のポイントを不正に得たものとみられている。
様々なトラブルが多発しているGo To事業。ゴールデンウイークまで「Go To トラベル」が延長されれば、今後も新たな問題が発生しそうだ。
image by: 首相官邸