中国にも劣る日本のコロナ対応。支持率急落で慌てる菅首相の大誤算

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12月12日にはついに1日の新規陽性者数が3,000人を超え、もはや制御不能の様相を呈する新型コロナの感染拡大。それでもGoToトラベルを継続しようとした菅首相に対する国民の反応は敏感で、ここに来て支持率は急落しています。そして、14日には世論に動かされる形で、渋々「GoTo一時停止」を表明しました。なぜ首相はここまでキャンペーンにこだわりを見せていたのでしょうか。今回のメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』では、ジャーナリストの高野孟さんがその理由を推測するとともに、新型コロナ封じ込めのため今すぐ実行すべき対策を具体的に記しています。

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※本記事は有料メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2020年12月14日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール高野孟たかのはじめ
1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授に就任。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。

3カ月で早くも下り坂を迎えた菅義偉政権――コロナ禍対策の失敗で支持率急落

毎日新聞が12日に行った世論調査で、菅義偉内閣の支持率は前月調査の57%から17ポイントも下落して40%となり、不支持率は13ポイント上がって49%、支持率を大きく上回った。

内閣支持率は、9月の政権発足直後が高く64%(不支持27%)、学術会議人事をめぐるしどろもどろの影響などもあり11月には57%(同36%)と下がり、今回は特にコロナ対策の失敗への批判が作用して大きく下落した。他の調査を見てもほぼ同じ傾向で、共同通信では、9月66.4%(同16.2%)、10月60.5%(同21.9%)、11月63.0%(同19.2%)から12月は12.7ポイント減の50.3%(同13.6ポイント増の32.8%)となった。

政権発足からわずか3カ月でこのような失速に近い支持率低下に見舞われるのは極めて異例のことで、来年9月の自民党総裁任期満了まで内閣が持つのかどうか、疑わしくなってきた。

GoToトラベルへの執着が仇に

毎日調査では、菅政権のコロナ禍対策を「評価する」は、11月には34%あったが、今回は20ポイント減って14%、逆に「評価しない」は27%から62%に跳ね上がった。またコロナ禍に対する日本の医療・検査体制について「不安を感じる」が69%、「感じない」は17%。GoToトラベルを「中止すべきだ」は67%で、「継続すべきだ」の19%を大きく上回った。

6割から7割の国民が政府のコロナ禍対策を「失敗」と見て不安を募らせているというのに、菅は国民に向かって自分の言葉で語りかけて不安を解消しようとする「大政治」を行うつもりなど毛頭なく、ただ永田町内でその場その場を切り抜けていくだけの「小政治」に溺れ込んでいる。学術会議問題やサクラ・タマゴ疑惑などで「答弁は差し控えさせて頂きます」と、言葉だけは一見丁寧だが実質は素っ気ない答弁拒否を繰り返してきたのも、目の前の野党議員やマスコミ記者のすぐ後ろには1億国民のみならず世界中の人々が目を光らせ耳をそば立てているのだと思う想像力が欠落しているからこそできることで、それが彼の「小政治家」たる所以である。

なので、菅がなぜこれほどまでにGoToトラベルにしがみつくのかは謎だが、推測するに、GoToの一時中止が「弱気の表れ」と受け取られることを恐れているのだろう。その最初の堤防が決壊すれば、東京五輪は中止となり、必然的に菅の9月総裁再選も消えるとい大洪水となって政権は押し流されていく。

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