日本全国でマスクが消えた日を忘れるな。中国「マスク外交」の大迷惑

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2020年は全世界が新型コロナウイルスに翻弄された1年となりましたが、中には「人為的」に引き起こされたとも言える混乱もあったようです。今回の無料メルマガ『日本の情報・戦略を考えるアメリカ通信』では株式会社オンザボード代表の和田憲治さんが、世界を襲った「マスク不足」とその後中国が展開した「マスク外交」の真相を暴露しています。

習近平の中国が展開した「マスク外交」を忘れるな

和田です。

日々凄い勢いで流れる情報の中で皆さん既に忘れてしまっているかも知れませんが、まさに顰蹙ものの話題がありました。

2019年、11月から中国武漢から始まった新型コロナウィルスの流行は、2020年になると数ヶ月で世界中に広がりました。未知のウィルスに世界はパニックになり、医療物資や医療崩壊を招き、物に溢れた先進国が一夜にして、マスクや防護服や消毒液などすら購入できない状況に変貌していったのでした。

その原因が中国共産党統一戦線工作部です。

北京の動きは速く、2020年1月には習近平は即座に湖北省武漢市をロックダウン。そして、世界各地でマスクやPPE(個人防護器具)などを買い集め中国に送るよう号令をかけ、世界五大陸、数十カ所に散らばる中国人組織が動きました。

米下院情報特別委員会での昨年の証言によれば、動員可能な団体は米国だけでも250を超えています。

中国のメッセージングアプリ「微信(WeChat)」を活用したキャンペーンの規模、スピード、効果は並大抵でなく、災害支援活動を超え、これは事実上の工作活動でした。

名古屋では3日間でボランティアがマスク52万枚を薬局で買い上げ、カナダのトロントにある中国商業会議所のトップは北京から戻り会員に協力を求め、100人近くをPEEの買い占めに動員しました。

アルゼンチンにある中国在外団体は、要請を受けて1週間以内に約2万5,000枚のマスク中国を送りました。

中国政府の統計によれば、2月末までにはマスク20億枚を含む25億品、82億元(約1,300億円)相当が統一戦線主導のキャンペーンにより中国本土に送り込まれていたのです。

これらの事実は、中国国営の新華社通信が報じていることですが、これは数千の組織やソーシャルメディアグループを動員できるということを誇示する中国の公式発表です。

このような行動こそが、世界各国からどれだけ顰蹙を買うか、そういうことすらもはや理解できない…。

これはまさしく、世界的戦略家である、エドワード・ルトワックが言うところのいわゆる「大国の自閉症」ということなのです。

昨年の2月、3月といえば、日本国内には、花粉症対策のためのマスクが大量にあったはずなのに、あっという間にマスク不足になりました。

あの時、中国人グループが薬局の開店にならび組織的に買い占め、中国の親戚に送っている、もしくは、国内転売しているという日本メディアでの報道も確かにありました。

彼ら在外中国人グループは、親戚や身内などではなく、北京のためにマスクやPEEを買い占め送っていたのです。それだけでなく、個人的にも、組織的にも、メルカリやヤフオク、アマゾンでも大量に転売して荒稼ぎもしていました。

中国人グループの暗躍によって、スーパーや薬局からはマスクが消え、国民のみならず、医療用マスクまで不足し、医療現場が深刻な事態になっている中、香川県は、県と市町の備蓄物質から「加油(がんばれ)陝西!」とダンボールに書いて人道的支援という美名の元、あたかも役人だけが自己満足をするかの如くマスク約2万7,000枚を中国陝西省に送っています。さらに、兵庫県も2月10日、マスク約100万枚を友好提携している広東省と海南省に寄贈しました。

このように、地方自治体の公務員達によるポリシーなき安直・安易な友好は、マスク不足にあえぐ日本国民を地獄に落としました。

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