自滅する仏教。「地獄の沙汰も金次第」を地で行く戒名ビジネス

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一定年齢以上の世代の中には、まだまだ気にかける方の多い「戒名」。本来ならば生前の信仰心により決まるものとされていたはずですが、形骸化していることは否めません。そんな状況を批判的に綴るのは、繁盛戦略コンサルタントの佐藤きよあきさん。佐藤さんは自身の無料メルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』で今回、お布施という名の戒名料の「相場」を紹介するとともに、このような慣習の継続は仏教そのものを廃れさせてしまうと警鐘を鳴らしています。

お金で“地位”が買える、「戒名」の不思議

人が亡くなると、仏の弟子となり、新たな名前を授けられます。それが「戒名」。
そう思われているのですが、本来は違います。

生前に仏門に入り、戒律を守り、仏道修行を行うと誓った出家者にだけ授けられる名前が「戒名」なのです。いつの頃からか、故人専用の名前として、つけられるようになりました。

「戒名」には、なぜか“位(くらい)”が存在します。

仏の世界では、生前の身分の上下や精進・報恩の多少に関係なく、すべての人が平等である、と説いています。なのに、“位”が存在するのはなぜでしょうか。

仏教界曰く、「生前、菩提寺との関係が深く、大きく貢献した者には高い位がつけられる」。つまり、信仰心が強く、仏を敬い、尽くしてきた者は、亡くなってから高い地位につくことができる、ということでしょうか。

それなら、納得もできます。しかし、それは大昔の話。

いまは、「お布施」という名の戒名料があり、しかも相場が決まっています。それだけではなく、つける“位”によって価格は上がるのです。

  • 【信士(しんし)・信女(しんにょ)】:30~50万円
  • 【居士(こじ)・大姉(だいし)/院信士(いんしんし)・院信女(いんしんにょ)】:50~80万円
  • 【院居士(いんこじ)・院大姉(いんだいし)】:100万円~

“位”は僧侶が選ぶのではなく、生前の本人や親族によって選ばれ、高いお金を出せば、高い“位”が買えるのです。例え悪どい商売で儲けたお金であっても、仏教界は高い“位”を用意してくれるのです。

まさに、「地獄の沙汰も金次第」。こんなことは、許されるべきではありません。仏の世界の平等は、“戒名ビジネス”によって、いとも簡単に崩壊したのです。

そんな不透明な世界に疑問を持つ僧侶も現れ始めています。お布施があまりにも高額なことに異を唱え、安く授ける“サービス”を始めた僧侶もいます。曖昧な金額のお布施を定額制にした葬儀社もあります。多くの関係者が、新しい道を切り拓こうとしているのです。

それでもまだ、戒名には“位”が残っています。

この根本を改めなければ、仏教そのものが廃れてしまうのではないでしょうか。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 佐藤きよあき(繁盛戦略コンサルタント) 【発行周期】 週刊

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