今年1月に史上初めて開催された全米最大のデジタル技術見本市「CES」、そして同時開催されていたという小売業界イベントのNRFビックショー。大変注目を集めていたこの見本市に参加したという『メルマガ「ニューヨークの遊び方」』著者で、NY在住の人気ブロガーりばてぃさんは、現地に行くことで得た「今後に役立つキーフレーズ」を紹介しています。IT系の人のみならず、日本の全ビジネスマン必見の内容です。
今後、認識しておきたいキーフレーズ
1月に史上初めて開催された全米最大の家電見本市、デジタル技術見本市とも呼ばれるCESについて、今回から何回かにわけてお話していきたいと思います。
以前、お伝えしたようにCESとほぼ同時開催した、こちらも世界最大の小売業界イベントのNRFビッグショーにも参加。
この2つのイベントは以外と共通点が多く、同時開催してくれたお陰でテック業界、リテールテック業界のトレンドを知ることができました。
メルマガの読者の皆さんが小売やテック系に関係ないご職業でも知っておくべき点が多いかと思います。
(1)たったの3ヶ月間で10年分の成長
まず、キーワードは、『3ヶ月の間に10年分の成長』とか『3ヶ月の間に10年分の変化』というフレーズです。
デジタル・トランスフォーメーションやオムニチャンネル化、AI、クラウド、サイバーセキュリティなど詳細に入る前に強く認識しておくべき点がこれなのです。
今回のCESやNRFのあらゆる講演で、非常に多くの経営者やマーケティングや技術部門の代表者の方々が、口を揃えて何度も繰り返している決り文句みたいになってまして、『たったの3ヶ月の間に10年分の成長』したから変わらざるをえなかったという感じなのです。
しかもCESやNRFには限らないようで、この『2~3ヶ月ほどの短期間に10年分の変化』という感覚は、アメリカでは有識者層を中心に広く共有されているようなのです。
具体的にどのくらい成長、変化したのか以下みていきましょう。
(2)どのように成長・変化したのか?
CESを主催する全米民生技術協会(Consumer Technology Association 、略してCTA)は、CESの開催期間の1月11日から14日のうち11日はプレス向けの基調講演として開催。
その中のCTA主催のカンファレンスで紹介されていたのが、最新テクノロジーの動向や今年のCES全体で鍵を握る重要なトレンドで、新型コロナウィルスの影響や対策の一環によって世界中で最先端テクノロジーの受け入れが早送りされ、劇的に加速したと取り上げています。
例えば、
- Eコマースによる配送はわずか8週間で過去10年分も増加
- テレメディシン(遠隔医療、診療)の予約がたったの15日間で10倍
- ストリーミング・ビデオの契約者数もたったの5ヶ月間で過去7年分も増加
- リモート・ラーニング(遠隔学習)の利用者は2週間で(米国内で)2億5,000万人も増加。
これらは大手コンサルティング会社のマッキンゼーの調査レポートをもとにしたものだが、別のカンファレンスではこれらを上回る変化が見られるものもありました。
例えば、教育をテーマにしたCESの別のカンファレンスの中には 、2億5,000万人どころか『全世界の16億人の学生が瞬時にオンラインに放り出された』(つまり16億人が一気に増加)と指摘しているものもあるほどとなっています。
つまり、コロナ問題は想像以上に様々な分野のデジタル・トランスフォーメーション(DX)を加速させたのです。
この他、eマーケターによる別の調査によると 、Eコマースの売上も急激に増加。
米国のEコマース売上高は2020年中に当初の予測の18%を大幅に上回る対前年比32.4%増。金額にして7,495億ドル(1ドル104円換算で77兆7,000億円)と伝えられています。
で、これだけ大きな変化が起こると、コロナ以前までに蓄積していたあらゆる消費者データが使い物にならなくなっているという話も非常に注目されています。
アクセンチュアのカンファレンスで話されていたのですが、例えば、ロンドンマラソンは史上初のバーチャル開催をしたけども、コロナ以前に申し込んでいた参加者データを根底から覆すほど数多くの人たちが世界中から参加したそう。
これは何を意味しているかというと、大会を開催するにあたり、参加者からの参加費では賄えないので、スポンサーを集めます。
その際、過去の参加者データをもとにこういう属性の人たちが参加するので御社にとって適切なスポンサー大会ですよと説得したりするわけですが、属性が根本から変化してしまうと、スポンサーを説得する材料がなくなってしまうわけなのです。
他にもリモートワークにより日頃みていた街頭広告は見なくなったし、人々の生活圏も変化しています。
だから、アクセンチュアのアナリストによると、これまで自社が想定してきた顧客の特徴・性質に関するあらゆる情報を、少なくても今後数年をかけて再び調査しなおさなくてはならない状況になっているのだそうです。
これに関しては欧米ほどリモート・ワークの浸透していない日本ではいまいちピンと来ないかもしれません。
でも、日米ではそれだけの差がすでに出ているという点はちゃんと認識しておくべきでしょう。
今後、欧米で出てくる新たな商品やサービス社会現象を理解するヒントになりますし、海外に事業展開したいという方にとっては抑えておくべき状況かと思います。
ネガティブなことばかりではなく、感染や死者の少ない日本だからこそ、まだまだ自由に動ける状況はあると思うので、アメリカで大きな変化が起きている今こそ何かをするにはチャンスがあるとも言えるかと思います。
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