相続税対策としての生命保険
昨今、生命保険、医療保険に対する風当たりが強くなっています。
特に最近は新型コロナでの収入減などで、生命保険を見直そうという人も増えているようです。
この生命保険の見直しをする場合、気を付けなくてはならない点があります。それは「生命保険は多角的に見なければならない」ということです。
生命保険に限らず、何事も多角的に検討したほうがいいに決まっています。が、生命保険の場合は、最近、極端な一面的な見方をしている人が多いようなので、注意すべきだと思われます。
このメルマガでは2020年7月16日号において、「掛け捨ての生命保険は決して得ではない」ということをご紹介しました。
その要旨は、貯蓄型の生命保険は保険料自体は高いが節税効果があるので、節税分を考慮した上で、損得を考えるべきというものです。
それだけでなく生命保険は、相続税対策においても重要なアイテムなのです。今回はそれをご紹介したいと思います。
生命保険金は相続人1人500万円まで非課税
相続税というのは、家族や親族が死亡して一定以上の財産を譲り受けたときにかかってくる税金です。
一定以上の財産というのは、ざっくり言えば、600万円×法定相続人の人数+3000万円です。
もし法定相続人が二人の場合は、4200万円以上の遺産があれば相続税がかかってくる可能性があります。
法定相続人というのは、法律で定められた「相続できる親族」のことです。通常は、配偶者と子供がこれにあたりますが、故人の家族関係によって若干変わってきます。
相続税がかかってくる遺産には、生命保険の保険金も含まれるのですが、生命保険の保険金の場合は非課税枠があるのです。
生命保険の保険金は、遺族の生活保障という意味があるため、保険金の全額を相続税の対象にするのはよろしくない、ということなのです。
この非課税枠は、法定相続人1人あたり500万円です。
この生命保険金枠をうまく使えば、自分の資産を瞬時に無税で親族に譲り渡すことができます。
たとえば終身保険の場合です。
終身保険というのは、何歳で死んでも死亡したときには保険金が受け取れるという生命保険です。事実上の貯金のようなものです。
これに加入していれば、法定相続人×人数分の財産を、無税で譲渡することができます。
もし、5000万円の資産をもっているひとが、500万円の終身保険に二口入ったとします。
保険料は一括払いにして、受取人は子供二人です。
この人が死んだとき、子供二人には生命保険がそれぞれ500万円ずつ入りますが、これには相続税はかかりません。
そして、残りの資産は4000万円ですから、法定相続人が二人以上いれば相続税はかかってきません。
だから、二人の子供はまったく相続税を払わずに済むのです。
このように、生命保険をうまく使えば、有効な相続税対策になるのです。
しかし逆に、高額の生命保険をかけていたばかりに、多額の相続税がかかってくるケースもあります。今度は、それをご説明したいと思います。
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