ウイグルでのジェノサイド認めず。中国に忖度、世界に疑われる日本の人権感覚

 

一方で、日本ではウイグル問題を報じるマスコミやテレビはほとんどありません。しかも日本の外務省は、中国のウイグル弾圧を「ジェノサイド」とは認めませんでした。

今年1月19日にアメリカ政府は中国のウイグル弾圧を「ジェノサイド」と認定しましたが、その1週間後の26日に行われた自民党外交部会で、外務省の担当者が「日本として『ジェノサイド』とは認めていない」との認識を示したことを、毎日新聞が報じたのです。

そしてその直後、中国メディアが「日本政府は新疆ウイグル自治区でジェノサイドが行われていると考えていないと表明した」と報じました。中国に発言を利用されてしまったわけです。

ウイグルジェノサイド認定をめぐる外務省担当者の発言についての声明

こうした日本の態度に、日本ウイグル協会からも批判が出てきています。3月2日、国民民主党が日本ウイグル協会からヒアリングを行いましたが、同協会副会長のレテプ・アフメット氏は、「あと半年すればジェノサイドと認定する国が間違いなく増える。そうした中で日本だけが何もしないのは、私たちが見たくない光景であり、多くの日本人の国民が見たくない光景だと思う」と述べています。

「何もしない日本、見たくない」 ウイグル協会幹部が行動求める 

中国の少数民族弾圧は、チベットや内モンゴル自治区でも続いています。モンゴルでは昨年、モンゴル語教育が停止されました。その理由は、モンゴル語は科学技術や中国流の思想道徳を教えるのに不向きで、中国語こそがIT時代にふさわしいからだといいます。

中国が傲慢な理由で強行した「モンゴル語教育停止」の衝撃

しかし、私がいつも主張しているように、中国語こそ近代科学や近代思想を表すことに不向きな言語なのです。そのため、19世紀から20世紀にかけて、中国は大量に和製漢語を輸入しました。いちはやく近代化した日本が、西欧の科学や思想を漢語に翻訳したことで、漢字文化圏に大きな影響を与えました。

民主主義、哲学、哲学、文化、自由、革命、共産主義、理性、宗教、分子、原子など、枚挙に暇がありません。「中華人民共和国」の「人民」も「共和国」も和製漢語です。中国憲法の記述の7割は和製漢語だとも言われており、和製漢語がなければ中国は成り立たないほどです。

中国語が近代の概念を理解できるのは、日本語をベースとした和製漢語があるからなのです。日本は表意文字である漢字と、表音文字であるカナを組み合わせることで、深い意思疎通や文章理解が可能となりました。

表意文字だけの中国語では、意味が曖昧となり、論語にしても注釈や注釈の注釈、注釈の注釈の注釈と、後世が解説つけくわえていくことが続きました。また、表音文字のハングルでは、同音異義語が頻発し、こちらも文章の意味が非常にわかりづらくなっています。

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