年金保険料の支払いが困難でも「未納」より「免除」申請の方が得をする

A man in a suit. An orange notebook with Japanese writing. Translation: Pension handbook.
 

さて、この男性は過去に免除の期間が多く、年金保険料をほぼ支払った事は無いですが大ケガを負ったので、年金の給付の一つである障害年金が支払われる事になりました。障害基礎年金2級は老齢基礎年金満額の780,900円と同じ額であり、定額となっています。

もし老齢基礎年金で780,900円の満額を貰おうと思えば、480ヶ月間完璧に保険料(月々約17,000円)を支払い、その間の必要な国民年金保険料は816万円ほどになる。

老齢基礎年金で満額貰ってる人ってあんまり見た事ないんですよね^^;

国民年金保険料を支払うのが困難だからという事で、免除の手続きしに行くというちょっとした手間をかけていたおかげで、予期せぬ事故が起きた時に満足な額ではないかもしれないけど、老齢基礎年金の満額と同じ年金額が一生保障される事になって大いに助かる事になる。なぜそうなったかというと過去の年金記録が単に保険料支払いをサボった「未納」ではなく、免除期間だったから。

免除期間の力は、老齢の年金をまだ貰えない若い世代にこそ発揮される。年金は高齢者のものというイメージは強いですが、障害年金や遺族年金は若い人が大いに関係が深い年金となる。特に障害年金は65歳以降は請求できない年金なので、若い人用の年金とも言える。

民間保険を検討する場合は必ず障害年金や遺族年金が貰える場合もセットで考え、無駄に民間保険料を支払いすぎないようにするといいですね。

※ 追記

傷病は回復するものなので障害年金は基本的には有期年金ですが、今回のように治りようがない傷病は一生涯の給付となる事もある。

また、65歳になるとそれまでの年金記録に応じた老齢基礎年金が支給されるようになりますが、この男性は障害基礎年金のほうが多いので結局は障害基礎年金2級を貰う事になるでしょう。よって障害基礎年金受給開始以降、国民年金保険料を納める意味が無いので無理に保険料を納めるように案内しない事があります。しかし、60歳までは国民年金保険料を支払う義務は免れないので、その間は免除を利用する事になる(障害年金2級以上は保険料全額免除が当然に使える)。

なお、途中で厚生年金に加入した場合は厚生年金保険料を支払わなければならないし、国民年金第3号被保険者になれば保険料を支払わずとも支払ったものとされる点は留意しておく必要はある。

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佐賀県出身。1979年生まれ。佐賀大学経済学部卒業。民間企業に勤務しながら、2009年社会保険労務士試験合格。
その翌年に民間企業を退職してから年金相談の現場にて年金相談員を経て統括者を務め、相談員の指導教育に携わってきました。
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【著者】 年金アドバイザーhiroki 【発行周期】 不定期配信

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