習近平政権によるウイグル族弾圧をめぐり、主要各国が続々と中国に制裁を科し始めています。来年の開催が予定されている北京五輪のボイコット論も強まりを見せていますが、今、日本はどのような姿勢を見せるべきなのでしょうか。今回の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』では国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんが、かつての日本がユダヤ人を虐殺したナチスドイツと手を組み敗北を喫した歴史を例に上げ、同じ過ちを繰り返してはならないと強く主張。その上で、日本は欧米とともに制裁を科すのが正解との見解を記しています。
アメリカ、イギリス、カナダ、EUが、ウイグル問題で中国に制裁!
第2次大戦時、ナチスドイツは、ユダヤ人を虐殺しました。中国政府は今、ウイグル人を「民族大量虐殺(ジェノサイド)」していると、アメリカ、カナダ、オランダなどが認定しています。それで、中国共産党政府は今、「現代のナチスドイツ」と呼ばれているのです。具体的には、どんなことをしているのでしょうか?
国連、中国政府がウイグル人100万人拘束と批判
BBC NEWS JAPAN 2018年09月11日
中国政府が新疆ウイグル自治区でウイグル人を約100万人、テロ取り締まりを「口実」に拘束していると、国連は懸念を強めている。
国連人種差別撤廃委員会は8月末、最大100万人のウイグル人住民が刑事手続きのないまま、「再教育」を目的とした強制収容所に入れられているという指摘を報告した。
もう一つは、ウイグル女性に不妊手術を強制することで、事実上の「民族絶滅政策」をしていること。ニューズウィーク2020年7月8日付、「ウイグル女性に避妊器具や不妊手術を強制──中国政府の『断種』ジェノサイド」を見てみましょう。
中国西北部の新疆ウイグル自治区では2017年以降、ウイグル人、カザフ人などテュルク系の少数民族が最大で180万人強制収容所に入れられた。これはホロコースト(ナチスのユダヤ人大虐殺)以降では世界最大規模のマイノリティー排除の暴挙である。亡命ウイグル人らはこの動きを「文化的なジェノサイド(集団虐殺)」と呼ぶ。
強制収容所に入れられていた女性たちが所内で注射を打たれ、その後に月経周期が変わったり、なくなったりしたことを語り始めたのは2018年以降のことだ。収容される前にIUDの装着や不妊手術を強制されたという証言もあった。
公表されたデータを見ると、2018年に新疆ウイグル自治区における人口の自然増加率(出生と死亡の差。移住は含まない)は急減している。
ウイグル文化の中心地であるカシュガル地区とホータン地区の人口の自然増加率は2015年の1.6%から2018年には0.26%と、実に86%も減った。一部のウイグル人地域では、2018年には死亡数が出生数を上回った。2019年には自治区全体の出生率は24%低下し、とりわけ少数民族地域では30~56%も低下した。
このように、中国政府は、事実上の「民族絶滅政策」をしているのです。