サッカー少年たちにとってJリーガーになることは憧れの一つですが、年俸が「1200万円」でも「120万円」でもなく、たった120円と聞いたら誰もなりたいとは思わないのではないでしょうか。今回のメルマガ『岡崎かつひろの『好きを仕事にするための本当の考え方』』では、著者でベストセラー作家・起業家の岡崎かつひろさんが、本当に120円の年俸で40歳を過ぎてからJリーガーになった元年収1000万円の事業家だった安彦考真さんをゲストにお迎えし、好きなことを追求して生きる秘訣や、さらなる目標「格闘家」になるという夢についても対談しています。全ビジネスマン必見の内容です。
(※本記事は、メルマガ『岡崎かつひろの『好きを仕事にするための本当の考え方』』の2021年3月1日号を掲載したものです。続きは、メルマガにご登録の上、3月のバックナンバーをご購入ください)
おっさんJリーガー安彦考真×岡崎かつひろスペシャル対談
日々、いろんな人と出会いがありますが、先日、すごい人に出会っちゃいました!
なんと、40歳でプロのサッカー選手になる夢を叶えた安彦考真さん。
僕は、あびさんとお呼びしているんですが、あびさん、むっちゃすごい人なんです。
40歳でJリーガーになるのもすごいですが、なんとその年俸契約が120円!!
1200万円でも1億2000万円でもなく、120円! しかも、その前の年までは年収1000万円以上稼いでいた事業家なんですよ。
40歳で夢を達成するために、さまざまなものを整理して、全力を尽くせるあびさん、かっこよすぎです。
しかももっとすごいのが、43歳の今、今度は格闘家を目指して2021年の年末に埼玉スーパーアリーナで「RAIZIN」への参戦を狙っているのです!
そんなあびさんにご登場いただき、プロサッカー選手を目指して高校生でブラジルに渡った話、プロ契約直前で足を怪我して帰国することになった話など、これまでの取り組みや生き方について話してもらいます。
あびさんの話を聞いていると、挑戦し続けることの大切さを感じます。それではいってみましょう!2月16日に新刊『好きを仕事にできる人の本当の考え方』 が発売になりました。
年俸120円Jリーガー選手が43歳で格闘家に?
岡崎: 本日は 『おっさんJリーガーが年俸120円でも最高に幸福なわけ』 の著者であり、元Jリーガー選手、現格闘家の安彦考真さんに「まぐまぐ」の僕のメルマガに登場していただくことになりました。
まずは、安彦さんのこれまでの経歴を教えてもらえますか?
安彦考真さん(以下、安彦): 初めまして。安彦考真(たかまさ)といいます。長くサッカーにかかわる人生を送ってきました。現在43歳です。僕は、39歳で仕事をやめて40歳からJリーガーになり、そこから3年間年俸120円でサッカー人生をやり、2020年12月20日から格闘家を目指すことに決めました。
目標は、2021年の埼玉スーパーアリーナ─の「RAIZIN」で格闘家として呼ばれ、試合に参戦することです。この1年間、どうやったらリングに立てるかを考えながら試行錯誤していきます。
岡崎: 安彦さんは幼いころからずっとサッカーに携わってきたんですよね。
安彦: サッカーを始めたのは幼稚園の年長くらいです。それからサッカー三昧の日々でした。サッカー以外のことをやって遊ぶこともあったし、父の影響で野球をやったこともあります。ただ、当時はサッカーマンガ『キャプテン翼』が流行っていたこともあり、サッカー選手になりたかったんですよね。だから、小学校の文集にも「夢はサッカー選手になることです」と書いたんです。
中学は、市内では強い学校に入りました。部活ではレギュラーではあったけど6番目、7番目の選手という感じでした。部長は勤めていたけど、地域の選考会で自分だけ落ちたこともあります。でも、サッカーが大好きだったので、とにかくキャプテンとして一生懸命やっていましたね。
高校の進学先を決める際、強豪といわれた麻布台淵野辺高校のセレクションを受けに行ったんですよ。サッカーでは合格点をもらったものの、肝心な成績が足りなくて。先生から中学校の進路指導室に呼び出され、成績が悪いから駄目だといわれたんです。
岡崎: 部活に打ち込んでいると、学校の成績が落ちてくることはありますよね。
安彦: 今思えばそれも問題だと思うんですけどね。その後、本当はブラジルに行ってサッカーをやりたかったんですよ。でも、親にいったら「だめだ。まずは高校を卒業しろ」といわれたんです。サッカーばかりやっていたから学校の成績が良くない。それもあって、当時、サッカーとしては弱小だった新磯高校に行きました。ただ、そこはヤンキー校といわれていたところで、環境は良くなかったんです。
「自分を変えるためにもブラジルで挑戦したい」
安彦: 「ここにいたら自分はダメになるから環境を変えたい」と思って、サッカーの強豪国、ブラジルに留学したいと思ったんです。それでもう一度親に頼んだら「自分でお金を貯めたら行ってもいい」といわれました。高校2年生の夏のことです。
そこからお金を貯めるために、朝早く起きて新聞配達の仕事をするようになりました。目標額を貯めて、高校3年の夏、ついにブラジルに1か月間サッカー留学できることになったんです。
岡崎: もう高校の頃から目標を決めて努力していたんですね。
安彦: 最初はトータル1か月の予定でしたが、いろいろあり3か月間滞在することができたんですね。ただ、このままブラジルに滞在すると日本の学校の単位が取れなくなるということで、一度帰国することにしました。
その後、高校卒業後にブラジルにわたり、プロデビュー直前までいったんですけど、プロ契約をした次の日の紅白試合で、なんと右ひざ前の前十字靭帯断裂を負傷してしまったんです。
それで契約が破談に。「ブラジル人でもプロサッカー選手になりたいやつはいっぱいいるから、日本人の面倒はこれ以上みていられない」といわれてしまったんです。戦力外通告ですよね。
岡崎: それは悔しいですね!
安彦: いやぁ悔しかったですね! リハビリにも通ったんですけどビザが切れるので、それもあり21歳の時に日本に帰国しました。
そのあとは、サッカーのジーコのお兄さんのエドゥの元、JSSC(ジャパン・スポーツ・サイエンス・カレッジ)で選手兼通訳として働くことになったんですよ。なんとかJリーグに入れればと思ってやっていたんですけど……。
清水エスパルスのテストを受けたときに、30分の試合で3本シュートを蹴る必要があったんです。でも、そのときにびびってしまったんですよ。「ブラジルまでいってサッカーの経験を積んだのに、こんなところでびびっているわけにはいかない!」と思ったものの、どうにも怖くて体が動かなくて……。
最初の10分が経過してしまい、残り20分はとにかくやり過ごせばいいやと思ったのが間違いでした。2本目を蹴る前に監督から呼ばれ「もうこれ以上はいい」といわれてしまったんですよね。それでプロテストが不合格になりました。
どんなに有能な詐欺師だって自分自身は騙せない
安彦: せっかくプロになれるチャンスだったのに、選ばれるどころか十分に力を発揮することすらできなかった。このことが恥ずかしくて、そこから人生が暗転していきました。具体的にいうと、「俺はできたんだ。ブラジルで活躍したんだ」といって、まわりの人に嘘をつくようになったんです。
ただ、いくらまわりに嘘をついたところで、自分自身は騙せませんよね。どんなに有能な詐欺師だって自分自身は騙せない。自分を欺き続けることに疲れてしまい、結局サッカーから離れることにしました。
岡崎: 「どんなに有能な詐欺師だって自分自身は騙せない」という言葉は、響きますね。その後、どんな活動をしたんですか?
安彦: いろいろやりましたよ! J1の通訳、サッカースクールの立ち上げ、打のネーションカップの総指揮、発達障害を抱えるサッカースクール、不登校の子どもたちを集めて指導。安彦塾を作り、オンラインセミナー、指導者セミナー。日本代表選手のマネジメント。39歳、このままではだめだ。人生の自分の人生を取り戻さないと。年収1000マンを捨てて40歳でJリーガー。40歳、3月31日、ミットホーリーホックで1年契約。2年目、2019年にWSCC横浜というJ3の契約。2020年WSCC横浜で契約。
岡崎: 来年のチャレンジも組めたらいいですね。「好きを仕事にできる人の本当の考え方」ですね。世の中的には、楽にいこう、とにかく夢を描けばいいという流れがありますよね。でも、現実を見ると、みんなすごく努力をしている。あびさんも「Jリーがーを目指すぞ」と言ったら急にアンチがでてきましたよね。
一番好きなもののために他を犠牲にできるか
安彦: 好きなことを犠牲にすると、ほかの好きなことを絶対的に犠牲にする覚悟が必要です。みんな、夜お酒を飲みに行ったり、週末に映画を見に行ったりしますよね。もし、本当にやりたいことがあったら、そこに使う時間は必要ですか? 僕は、今やらなければいけないことに没頭するべきだと思います。
岡崎: あびさん、お酒も飲むのをやめましたよね。
安彦: やめました。体を作らなければいけないし、飲んでいる時間も練習するべきだと思って。突き詰めていく覚悟が必要ですよね。
やはりプロの格闘家になろうと思ったら、生半可な決意ではできません。そんな簡単な仕事ではないし、好きなことを突き詰めようと思ったら、すべての時間をそこに費やす覚悟が必要です。
以前、テレビでマツコ・デラックスさんが「好きなことで仕事ができていいですね」と質問されたことがあったんですね。そのとき、マツコ・デラックスさんは「あんた違うのよ。好きなことを仕事にとられちゃったから、もう好きではないのよ」と言っていました。
好きなことを突き詰めると、趣味を上回ってしまう。そこをも含めてやれる覚悟が必要だと思うんですね。
岡崎: 「中途半端な好き、にわか好きでは仕事にはできない」ということですね。
生半可な気持ちではできない。「好き」を追求するためにやるべきことは?
安彦: たとえば、サッカーでフリーキックについて考えているとき、突き詰めて考えていると。日常の何気ないシーンでも「この角度でボールを蹴ったらいいかも!」ということを思いつく時があります。日常のすべてがサッカーに集約されているんです。
格闘技についても同じです。どうしたら大晦日のさいたまスーパーアリーナの「RIZIN」に出場できるのか。しかも、自分から申し込むのではなく、「RIZIN」から「ぜひ出演してほしい」とオファーが来る。そのためには何をしたらいいのか。
岡崎: たぶんあびさんは、24時間365日そのことしか考えていないから、格闘技について入ってくる情報が圧倒的に多いのでしょうね。その体験をすると好きがさらに加速しますね。(この続きは、メルマガ『岡崎かつひろの『好きを仕事にするための本当の考え方』』ご登録の上、3月のバックナンバーをご購入ください)
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