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インドで1日20万人以上の感染者。新たな脅威「二重変異株」の恐ろしさ

インドでは4月半ばから新型コロナウイルスの感染爆発が再び起こっていて、1日の新規感染者数が連日20万人を超える事態となっています。この原因として疑われているのが、2つの変異が重要な部分に起きている「二重変異株」の存在。メルマガ『uttiiの電子版ウォッチ DELUXE』著者でジャーナリストの内田誠さんが、この新たな「二重変異株」という言葉を手がかりにニュースメディアをチェック。インドの現状を伝え、ウイルスとの戦いを終えるには、治療薬の開発が重要と述べています。

「二重変異株」を新聞はどう報じてきたか?

きょうは《朝日》から。見慣れない「二重変異株」という言葉が出ています。インドで発見されたようですが、日本についても急速に重要な意味を持つ言葉になっていく可能性がありそうですので、きょうはこれを取り上げたいと思います。

ただ、検索を掛けてみると、《朝日》のサイト内に2件、記事はきょうの記事があるだけですので、ウェブ上で「二重変異株」を拾ってみると、3月中に、CNNとBBCが報じていました。異例ですが、そちらの概略を紹介してみたいと思います。

まずは《朝日》の3面記事。この記事は世界で変異株が猛威をふるっているという主旨で、【セブンNEWS】第1項目に掲げましたが、「二重変異株」の部分についてはキチンと紹介していませんので、ここでは「二重変異株」について書かれている部分だけを概括します。まずは見出しから。

インド、「二重変異株」確認

以下、該当部分の記事概略。18日に発表されたインドの一日あたり感染者数は26万人で、過去最多。今年2月には1万人を切る日もあったのに、3月中旬から再拡大し、4月5日に10万人を突破、その後、さらに急増している。地元政府は夜間や週末の外出を禁止するなどの対策を打っている。

一部専門家が急増の背景にあると指摘しているのが「二重変異株」。「1つのウイルス内で2つの変異が重要な部分に起きている」というもの。インド政府は「感染者の急増と直接の関係はない」と発表していたが、政府系の科学産業研究評議会のアグワル理事は「二重変異株はより感染力を増し、免疫を回避する可能性がある」としているという。

●uttiiの眼

変異株はそれぞれに特徴が違っているのは明らかで、例えばブラジル型は子どもにも感染が広がり、アストラゼネカ製ワクチンが効かない、などのことがあるようだ。「二重変異株」となると、さらに大きな変化があるのだろう。ウイルスにしてみれば、感染機会が増えれば増えるほど、変異するチャンスも増えるわけで、その中のどれかが既に獲得された免疫を突破する可能性もまた高くなるという関係なのだと思う。容易ならざることだ。

【サーチ&リサーチ】

*きょうは異例の展開方法になります。まずはBBCのニュースから。

2021年3月25日付BBCのニュースサイトから
「二重変異株は、インドの18州で集められた計1万787のサンプルの中で見つかった。このサンプルからは、イギリス型の変異株も736、南アフリカ型は34、ブラジル型も1つ、それぞれ確認された」。

「ウイルス学者シャヒド・ジャミール博士は、「新型ウイルスのスパイクタンパク質の主要部分で起きた二重変異は、リスクを高め、新型ウイルスが免疫システムから逃れることを可能にするかもしれない」」と話し、「「L452RとE484Qの変異が同時に起きている新たな株が、インドで発生しているのではないか」と述べた」というもの。

*調査の時期が何時なのか分からないが、変異型の比率は最大のイギリス型でも10%に満たないから、僅かにしか見つかっていない「二重変異株」が爆発的な感染拡大をもたらしているとは考えにくいだろう。インド政府の受け止め方は納得できる。
*3日後、今度は米CNNが同内容を簡単に報じる。さらに…。

2021年3月28日付の時事ドットコム(時事通信のサイト)
「インドでは既に、英国、南アフリカ、ブラジル型の変異株が見つかっている。加えて保健・家族福祉省は24日、新規感染者が特に多い西部マハラシュトラ州などで、二つの変異株の特徴を併せ持つ「二重変異ウイルス」が見つかったと発表した。最近の感染者急増と「直接的関係があるとはみていない」と説明したものの、不安が広がっている」

●uttiiの眼

まずはBBC、次いでCNNと、英国と米国の主要なテレビメディアのサイトがこの問題を報じ、日本では時事が「インド第2波」に関する記事のなかに反映させた。日本ではまだ見つかっていないのだろうが、時間の問題なのかもしれない。これとは別に、「日本型」も生まれているとされる。

新型コロナウイルスの変異型は既に1000種類以上に分岐していて、その多くはやがて淘汰されるが、なかには「英国型」のように感染力を高め、重症化率も高くなるような変異型も存在する。そのようなものが出現すれば、また、あれよあれよという間に、私たちの社会は深刻な事態に陥ってしまうのかもしれない。その意味で、ワクチン開発も重要だが、治療薬の開発はもっと重要な課題になってきているのだろう。

image by:Manoej Paateel / Shutterstock.com

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ニュースステーションを皮切りにテレビの世界に入って34年。サンデープロジェクト(テレビ朝日)で数々の取材とリポートに携わり、スーパーニュース・アンカー(関西テレビ)や吉田照美ソコダイジナトコ(文化放送)でコメンテーター、J-WAVEのジャム・ザ・ワールドではナビゲーターを務めた。ネット上のメディア、『デモクラTV』の創立メンバーで、自身が司会を務める「デモくらジオ」(金曜夜8時から10時。「ヴィンテージ・ジャズをアナログ・プレーヤーで聴きながら、リラックスして一週間を振り返る名物プログラム」)は番組開始以来、放送300回を超えた。

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【著者】 内田誠 【月額】 月額330円(税込) 【発行周期】 週1回程度

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