サムスン会長20兆遺産に韓国中が騒然。その6割を社会還元した遺志

shutterstock_757373476
 

韓国最大の財閥・サムスングループのオーナーが残した莫大な個人資産が今、大きな注目を集めています。今回の無料メルマガ『キムチパワー』では韓国在住歴30年を超える日本人著者が、遺族らが公表した遺産の配分方針を紹介。そこで明らかになったのは、20兆ウォンを超える遺産の実に60%が社会に還元されるという事実でした。

三星のノブレス・オブリージュ

去年2020年10月25日に78歳で逝去した故李健煕(イ・ゴンヒ)サムスン会長。彼の遺族が発表した史上最大規模の相続税納付と歴代級の社会還元計画は、生涯を事業報国に尽力した故人が残した「偉大な遺産」と評価されている。

12兆ウォン=1兆1,700億円以上を相続税として納め、かつ1兆ウォン=980億円規模の感染病・小児ガン・希少疾患支援、そしてさらに10兆ウォン=9.800億円台と推定される美術品寄贈など、社会還元方針を公開した。相続税は税として納付し、寄付と美術品などの寄贈は寄贈としてまた別にやるというから驚きだ。以下は詳しい内容。なんともすごい規模の話なので、実感がわかないが、ネット記事を参照しながら筆者のことばで書いてみたい(「故이건희 회장의 ‘위대한 유산’..재산 60% 국가·사회에 남겼다」をベースとした。感謝)。

洪羅喜(ホン・ラヒ)夫人と李在鎔(イ・ジェヨン)三星電子副会長、李富真(イ・ブジン)ホテル新羅社長、李曙鉉(イ・ソヒョン)三星福祉財団理事長ら遺族はこの日、三星電子を通じて発表した資料で、12兆ウォン(=1兆1,700円)の相続税納付計画とともに、1兆ウォン(=980億円)規模の感染病・小児ガン・希少疾患支援、そしてさらに10兆ウォン(=9,800億円)台と推定される美術品寄贈など社会還元方針を公開した。

遺族たちが発表した税金納付と社会還元の規模は、故人が残した財産の60%に達するものと推定される。生前、三星をグローバル企業に育てあげ国家と社会に貢献した故人が、死後も「ノブレス・オブリージュ」を見せたわけだ。

遺族が納める相続税は、韓国国内はもちろん、世界的にも歴代最高額だ。昨年、韓国政府の相続税歳入規模の3~4倍の水準に達する金額でもある。

李健煕会長が昨年10月25日に死去した後、韓国の財界では他の国に比べて過度に高い相続税率を見直すべきだという指摘があった。しかし遺族は、「税金納付は国民の当然の義務であり、当然すべきこと」と明らかにした。これは李健煕会長の遺言でもある。今年4月から5年間、6回にわたって相続税を分納する計画だ。相続税の財源調達計画は発表されていないが、今月納付する第1次分は保有現金と金融機関からの融資を利用して納付するものとみられる。

遺族らはまた、故人の「人間尊重」経営哲学に基づいて、感染病・小児がん・希少疾患の克服に向け、1兆ウォンを寄付する。「コロナ19」で全世界が苦しんでいる中、人類の最大の脅威として浮上した感染病に対応し、これを克服するためのインフラ構築のために7,000億ウォンを寄付することにした。このうち、5,000億ウォンは韓国初の感染病専門病院である「中央感染病専門病院」の建設に使われる予定だ。2,000億ウォンは疾病管理庁傘下の国立感染病研究所の最先端研究所の建築および必要設備の構築、感染病ワクチンおよび治療剤開発のための諸研究支援など、感染病に対応するためのインフラ拡充に使われる予定だ。

今後10年間、小児ガン・希少疾患の子どものうち生活が苦しい患者を対象に遺伝子検査・治療、抗がん治療、希少疾患新薬治療などのための費用を支援されるわけだ。これを通じて、今後10年間、小児ガン患者1万2,000人余り、希少疾患患者5,000人余りなど、計1万7,000人余りが恩恵を受けることになる見込みだ。

print
いま読まれてます

  • サムスン会長20兆遺産に韓国中が騒然。その6割を社会還元した遺志
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け