MAG2 NEWS MENU

コロナ禍で大ヒット。「手マスク」を開発した老舗軍手メーカーの思い

長引くコロナ禍にあって、とある抗菌・抗ウイルス手袋が注目を集めています。今回の無料メルマガ『MBAが教える企業分析』では著者でMBAホルダーの青山烈士さんが、その名も「TEMASK -てますく」なる商品を世に送り出した、老舗軍手メーカーの戦略と戦術を分析。多くの消費者の共感を得たのは、「技術力を世の中に役立てたい」という、同社の強い思いでした。

技術力×思い

今号は、抗菌・抗ウイルス手袋を分析します。

● 軍手の製造・販売を手掛ける株式会社イナバが展開している「TEMASK -てますく-

安心、安全、快適に暮らしたい方をターゲットに「自社製造・自社販売へのこだわり」に支えられた「フィット感が抜群」「ウイルスを抑制する」等の強みで差別化しています。

コロナ禍でウイルス対策が求められる中で、独自の技術とこだわりが注目を集め、クラウドファンディングサイトで、目標額の6,024%となる応援購入総額を達成。

■分析のポイント

まず、日本に軍手を作っているメーカーが存在するということに驚かされました。あまり技術力を必要としないイメージでしたので、海外で生産されているのであろうと思っていました。実際は、株式会社イナバのように技術力を持つ企業が生き残っているのです。思い込みには気をつけたいですね。

厳しい環境下においても、技術力を持っているということは生き残るうえで、重要な要素と言えるでしょう。ですが、技術力だけで生き残ることは困難です。

今回のポイントとなりますが、イナバの社長は、「TEMASK -てますく-」開発の経緯として、今の世の中で「手袋を作り続けてきたからこそできることを」と考えていたようです。

企業として活動をしていれば、必ず逆境と言えるような世の中の変化は訪れます。その変化を機会として捉えるか、それとも、どうにもならないと捉えるかで、その後のアクションは大きく変わってきます。

だからこそ、どんな時代であっても、「自分たちにできることはないか」と考え続けることができることは非常に大切なことです。どんなに優れた技術力を持っていても、その技術を世の中にどう活かせるかということを考えていかないと、宝の持ち腐れになりかねませんからね。

そして、技術力を世の中に役立てたいという思いを持っていることが共感を得ることにもつながります。「TEMASK -てますく-」もクラウドファンディングで、目標を大きく上回る応援購入につながりましたね。

今回の事例は、「技術力×思い」の重要性を示した好事例と言えるでしょう。今後、「TEMASK -てますく-」が、どのような存在になっていくのか注目です。

◆戦略分析

戦場・競合

強み

1.フィット感が抜群

2.繊維状の菌やウイルスを抑制する

★上記の強みを支えるコア・コンピタンス

「自社製造・自社販売へのこだわり」

上記のような、こだわりや技術が強みを支えています。

顧客ターゲット

◆戦術分析

売り物

「ウイルス対策手袋『TEMASK-てますく-』」

「TEMASK」は、この感染症が蔓延してる不安だらけの世の中で、少しでも安心と優しさで大切な手を守りたいと開発した手袋。

売り値

売り方

売り場

※ 売り値や売り物などは調査時の情報です。最新の情報を知りたい場合は、企業HPなどをご確認ください。

image by: Shutterstock.com

青山烈士この著者の記事一覧

本メルマガをとおして、ビジネスパーソンにとって重要となる企業分析能力を磨くことであなたの価値向上のお手伝いができればと思っています。
また、これから社会人になる方には、就職活動で避けては通れない(面倒な)企業分析に役立てていただければと思います。
テキストのみでなく、図表を用いてわかりやすさを大事にしています。

無料メルマガ好評配信中

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 MBAが教える企業分析 』

【著者】 青山烈士 【発行周期】 ほぼ 週刊

print

シェアランキング

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MAG2 NEWSの最新情報をお届け