御用“返上”学者、尾身会長の反乱に激怒。菅首相の五輪強行ウラに安倍氏の影

 

安倍氏が菅続投を支持するというのは、あくまで混乱なく五輪を終えることが前提だろう。オリンピックはヨーロッパに残された権威の砦であり、IOCはそれを背景に開催を迫っている。

安倍氏は福島第一原発の汚染水について「アンダーコントロール」と世界にウソをついてまで五輪を日本に招致した張本人である。まさか、新型コロナで五輪中止に追い込まれてもなお、菅支持の姿勢を変えないとは、とうてい思えないのだ。

大会を強行したはいいが、選手や関係者にクラスターが発生したり、外部と遮断するバブル方式がうまくいかずに、「コロナ変異株の祭典」(仏ル・モンド紙)が現実になった場合、“五輪敗戦”の烙印を押され、菅政権の責任は免れないだろう。

安倍氏の発言で続投の芽が出てきたことによるプレッシャーのせいか、最近、菅首相の目の色が変わってきた。五輪をやり遂げたい。とにかくワクチンを打ちまくり、なんとしても7月21日から9月5日までの長丁場を乗り切りたい。そう意気込んだ権力者の耳目には、感染症対策専門家のあたりまえの忠告さえ、邪魔になる。6月4日のアエラ・ドット(「『黙らせろ』尾身会長の”謀反”に菅首相が激怒 意地の張り合いで権力闘争が激化」)に以下のような記事が掲載された。

東京五輪・パラリンピック開催をめぐり連日、新型コロナウイルス感染リスクについて強い警告を発している政府対策分科会の尾身茂会長に対し、菅義偉首相が激怒しているという。「『黙らせろ。専門家の立場を踏み越え勘違いしている。首相にでもなったつもりなんじゃないか』などと怒りを爆発させています。尾身会長を菅首相が最近、ひどく疎んじているのは間違いありません。もともと御用学者として側に置いていた尾身会長が謀反を起こし、自分の敵になったという意識が日に日に強くなっています」(政府関係者)

英国やインドなどからの変異ウイルスが猛威をふるい、緊急事態宣言下にある現在、政府の専門家会議のトップである尾身氏が、東京五輪開催について下記のような警告を発するのはあたりまえのことである。

「我々は五輪を開催するかどうかの判断はする資格もないし、するつもりはない。しかし仮に五輪を開催する決断をなされた場合、当然、開催に伴う国内の感染への影響があって、分科会は我が国の感染をどう下火にするか助言する立場にある」(6月1日、参院厚労委員会)

「パンデミックの状況でやるというのは、普通はない。やるなら、開催の規模
をできるだけ小さくして、管理の体制を強化するのが五輪を主催する人の義務
だ」(6月2日、衆院厚労委員会)

「なるべく早い時期に、我々の考えを正式に、しかるべきところに表明するのが我々の責任」「スタジアムの感染対策は組織委員会がプレーブックでしっかりやろうとしているが、スタジアムのなかだけを議論しても意味がない」「ジャーナリストやスポンサーの行動については、選手よりも懸念がある」(6月3日、参院厚労委員会)

開催するならリスクを洗い出して、その対策を助言し、感染拡大を防ぐ義務がある。その具体的な提言を近々、出したいと表明しているのだ。なぜ、これに「黙らせろ」と憤慨しなければならないのか。提言してもらえばいいではないか。

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