東京五輪・パラリンピックの各国選手団が生活する選手村が20日、報道陣向けに公開された。来月13日の開村に向け、最終準備が進んでいるが、一方で国際オリンピック委員会(IOC)が「ウーバーイーツ」の利用許可を大会組織委員会に要請していることがわかった。日刊スポーツが報じた。しかし、中身を確認することができないだけでなく、選手関係者が一般人と接触してしまうことから、コロナ感染の拡大に繋がってしまうのではとの懸念が生じている。
IOCがウーバーイーツ容認を求める
公開された選手村は居住棟や食堂、新型コロナウイルスに感染した疑いがある人向けの「発熱外来」がほぼ完成しており、「ビレッジプラザ」には銀行やクリーニング、インターネットカフェなどが入店する。
食堂では国産の食材を主に使った約700種のメニューが振る舞われるが、密状態を避けるため座席数の削減や利用時間の制限などの措置が取られる。
そこでIOCから出てきたのが、「ウーバーイーツ容認」案だ。
記事によると、IOCは感染リスクを恐れて食堂での食事を回避する選手にも、自室で食堂と同等の温かい食事を提供できるようウーバーイーツの利用許可を要求したという。
しかし、ウーバーイーツの配達員から運ばれた商品は中身を確認することができず、酒類も自由に注文できてしまうなどの懸念もあることから、組織委は難色を示しているとされている。
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ウーバーイーツ利用許可で生じる重大なリスク
選手村の食堂はもともとは4300席の予定だったが、感染対策のために約3000席に削減。利用時間にも制限が加えられることから、これまでのオリンピックと同じような食堂利用はできない。
そこでIOCから提示された驚きの提案。組織委は「酒類が持ち込まれるのでは」と心配したというが、問題はそこではない。それ以上に大きく懸念されるリスクが2つある。
①ウーバーイーツ配達員を介してコロナ感染爆発
もし、ウーバーイーツの利用が認められることになれば、注文した商品を受け取るため、選手や関係者は配達員と接触することになる。おそらく配達員の多くはまだワクチン接種を受けていないだろう。
PCR検査や抗原検査で陰性の選手たちが選手村で最大限に注意したとしても、ウーバーイーツの配達員と触れ合ってしまっては意味がない。
配達員は“五輪専属”というわけにはいかないことから、選手村に商品を届けた配達員は一般家庭にも同様にやって来ることになる。
いくら選手村を非接触にしても、ウーバーイーツを許可してしまえば、配達員を介してコロナを広めてしまう恐れがあるのだ。
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②禁止薬物の運び入れ横行でドーピング続出
心配されるのはコロナの感染拡大だけではない。周知の取り、ウーバーイーツの配達員は登録さえしてしまえば誰でもなれる。それゆえ、これを悪用しようと思えばできてしまうということになる。
たとえば、五輪に出場する選手が関係者をウーバーイーツの配達員に仕立て、商品を持ってくると見せかけて禁止薬物を運ばせることも可能となる。
当然だが選手村に禁止薬物を持ち込むことはできない。入村する際に徹底的にチェックされる。
しかし、そこをクリアして無事に選手村に入り、その後ウーバーイーツに禁止薬物を運ばせれば、何も疑われることはない。あとはドーピング検査に引っ掛からなければよいだけだ。
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ウーバーイーツの利用許可を認めればこれだけの懸念が生じてくる。IOCに言われたから「はいはい」ということではなく、組織委はリスクを踏まえて熟慮する必要があるだろう。