これが日本の現実。ワクチン「1日100万回」の裏で見捨てられる人たち

 

コロナ感染拡大が深刻化した1年前から、介護施設などへのサポートは決して満足いくものではなかった。意思疎通が難しいの高齢者のワクチン接種の意思確認も現場まかせで(抗議の声が上がってから変更)何から何まで「ひとつよろしく!」政策を続けてきました。

密を避けることができない介護士や、訪問介護士さんに優先的にワクチン摂取を進めなかったことも問題だし、「行くことができない」「自分で予約することができない」高齢者への対応は後手後手でした。

しかも、接種券の文字が小さい!あんな小さな文字をいったい誰が「見える」というのでしょうか。

高齢者切り捨ては、それだけではありません。

コロナ禍で、介護現場の窮状が連日伝えられていた昨年、6月1日。厚労省は「新型コロナウイルス感染症に係る介護サービス事業所の人員基準等の臨時的な取り扱いについて(第12報)」を都道府県に出した。これは平たく言えば、「介護施設にずっと通いたければ、アンタたち利用者が、施設が潰れないようにお金を負担しなさいよ!」という通達でした。

「3時間しか通所サービスを利用していないのに、5時間の利用料を払わなければならない」

「利用者は事業所の大変さを理解して利用時間を減らしているのにさらに負担増まで強いられるのか」

などなど、「利用者の同意」を前提としながらも、利用者に「使ってもないサービスを使ったことにする」制度に、現場では戸惑いと怒りが広がったのです。

新型コロナ感染拡大による介護事業の減収分を安易に利用者に負担させ、「ひとつよろしく!」と、現場=事業所に責任を丸投げしたのです。

繰り返しますが、日本は超高齢社会です。年をとれば、見えない、聞こえない、歩けないなど、「何かの、誰かのサポート」なしには生活するのは極めて難しい。「自立」は無理です。

共助、公助なくして生活できないのに、「え?無理?だったら仕方がないよね~」という社会が、今の日本社会です。

ワクチン接種1日100万回は多いに結構。ですが、人口構成が変わるということは、スタンダードを変えなきゃいけないのです。この国のスタンダードは、果たして超高齢社会になっているでしょうか。バリバリ元気で動ける人のまま…なのではないでしょうか。

みなさんのご意見、お聞かせください。

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