バイデン自身がタイトル42を廃止した途端に、現在でも最高レベルの不法移民の数がさらに急増する事を心配しているのです。
「とにかく米国に行ってしまえ。捕まっても追い返されない。難民申請すればよい」と世界中から更に不法移民が集まる可能性は大きいでしょう。
そうなるのを恐れてバイデンはタイトル42を続けているのです。移民政策研究所のアンドリュー・シリ氏は、「タイトル42は、長期的に国境での移民管理をどうするかを考えるための時間稼ぎとして有効な一時しのぎでした。時間は稼げましたが、まだ答えは出ていません」と語っています。
しかしその時間はもうすぐなくなります。コロナが終息しつつある米国ではこの理由を使い続ける事に無理がありますし、人権団体からの訴訟も受けているからです。
バイデンは不法移民にどう対応するかを明確にしなければならないのです。公約どおり寛大な政策をとれば、さらに膨大な数の不法移民が押し寄せるかもしれません。厳しい政策をとれば、民主党から公約違反と責められます。どっちも大変な事です。
こういった状況、なぜか日本で報道される事がないです。これを説明せずに、米国人が政治を見る心象風景を理解することなど不可能なんですけどね。
ps
日本ではキャッチアンドリリースやタイトル42の是非といった真っ当な政策の論点が報道されていません。「Qアノンの陰謀論に騙され続ける米国人」「トランプ、最後の悪あがき」といった報道ばかりです。確かに面白いですけどね。
(メルマガ『在米14年&起業家兼大学教授・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』 7月4日号より一部抜粋)
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