五輪反対だけで「反日」呼ばわり。辞任後も分断を煽る安倍前首相のネトウヨ脳

 

月刊「Hanada」編集部は、上記の面々が、対談記事を読まず、毎日新聞の記事だけで判断しているのではないかと疑っているのだが、前新潟県知事、米山氏は以下のツイートを返した。

この面々で何で私が入るの?という感じですが、いや、読んどるがな(苦笑)。私、こういうのちゃんとお金を払って読む派なんですよ。ですので一応私、御誌の読者で売上に多少貢献しています。私に確認もしないで「見出し・引用記事だけで批判」はそれこそレッテル張りで出版社失格じゃないですかね。

「Hanada」編集部が最も激しくかみついた相手は、共産党の志位委員長だった。

志位氏が「自分に反対するものを『反日』とレッテルを貼る。こういう貧しくも愚かな発言を、一国の総理までつとめたものがしてはならない」とツイートすると、「Hanada」編集部はこれに返信する形で反撃した。

弊誌対談のいったいどこをどう読んだらそのような解釈になるのですか?あまりにも卑劣なレッテル貼りに唖然とします。さすがは破防法に基づく調査対象団体である日本共産党!こんな人が20年以上も委員長に就く独裁政党が一定数の議席を保持しているとは…

「どこをどう読んだら」と言うのだから、よほど内容に自信があるのだろう。ならば、ぜひとも、対談内容をつぶさに吟味してみなくてはならない。さっそく筆者も同誌を購入し、熟読した。

安倍発言は、右派論客として知られるジャーナリスト、櫻井よしこ氏との誌上対談で飛び出した。

櫻井氏が、東京五輪の新型コロナ対策について「かなり万全な対策を講じることがわかります」と述べて、こう続けた。

「ところが、野党は『来日した外国人が日本で感染して、帰国してからその国で感染が拡大する心配がある』とまで批判しています。菅政権を引きずりおろすために五輪を政治利用している、と言わざるを得ません」

これを受けて、安倍氏は次のように語る。

「極めて政治的な意図を感じざるを得ませんね。彼らは、日本でオリンピックが成功することに不快感を持っているのではないか。共産党に代表されるように、歴史認識などにおいても一部から反日的ではないかと批判されている人たちが、今回の開催に強く反対しています。朝日新聞なども明確に反対を表明しました」

つまり、櫻井氏が野党による五輪の政治利用を問題にしたのに対し、安倍氏は対象を「反日的ではないかと批判されている人たち」に広げ、彼らは五輪の成功に不快感を持っていると決めつけたうえで、その代表例として共産党や朝日新聞の名をあげているのだ。

筆者は共産党の支持者でもなく、必ずしも今夏の五輪開催に反対するものでもないが、前総理ともあろう人が容易に「反日」と口に出す愚かさを指摘したことに関しては、志位氏に同意する。

そもそも「反日」とは何であろうか。外国の反日運動とは何ら関わり合いのない日本人に向けて、なぜ「反日」と呼ぶのだろうか。政権を批判したらどこかの国を利するというなら、自由な言論などできない。

安倍政権のころ最も顕著だったように、政権を批判する言論人は、いともたやすくネット上で「反日」だの「売国奴」だの、気味の悪い称号を贈られる。ネトウヨ諸氏は、そう決めつけ、揶揄、嘲笑、罵倒して、スカッとさわやかになるのであろう。

そんな、偏執的ボキャブラリーを平然と駆使する人物を、われわれは首相として、いただいていたのだ。

もとより、野党の政策批判に政治的意図がまったくないわけはない。五輪開催をめぐり、感染拡大、医療危機を心配して、さまざまな批判的発言をする場合も同じだ。

だがそれを、「彼らは、日本でオリンピックが成功することに不快感を持っている」とまで言ってしまったら、「愚か」と評されるのも仕方がない。五輪の失敗を望む日本人がどこにいるというのか。本気でそう思っているのなら、権力者特有の被害妄想が高じているとしか思えない。

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