■まずは「止めたい理由」を、きちんと訊いて対処する
「簡単に止めさせると、嫌なことからすぐ逃げる子になる」という心配だが、それほど気にする必要はないと思う。
私の見聞では、習い事が原因で飽きっぽい子になることはない。いくつか別の習い事を試しているうちに、きっと合うものが見つかるはずだ。見つかれば、子どもは無理なく続けられ、熱中するようになる。
親としてはそれほど深刻に考えず、「お試し期間」と考えればいい。才能発見の回り道だし、何事もやってみなければわからない。いろいろなことの経験自体が人生勉強だし、途中で止めても決してムダにはならない。これが2つめのポイントだ。
小学生のとき1か月だけ卓球をやった経験のある人が、定年で暇になってからまた始めた例もあるのだ。数か月ぽっちの習い事でも、その子の人生の幅を広げるかもしれない。
習い事でも勉強でも「長続きの秘訣」は、本人が興味を持つかどうかだ。「好きこそものの上手なれ」で、好きになればどんどんうまくなる。うまくなって親にほめられると、その子の自信になる。
だから、親は習い事を止めたり替えることを恐れずに対応しよう。そしてなにより重要なのは、前述のように、「止めたい理由」を聞くことだ。
このとき、子どもの愚痴を共感的に受け入れ、すっきりさせ、できるだけほめてやる。中には理由を言いたがらない子や、本人にも原因がわからないときもある。それを踏まえて、じっくりと話を聞き、指導者にも聞いてみることだ。
たとえば、水泳教室に通っていたが急にやる気をなくし、さぼるようになった子がいた。調べてみると意外な原因だった。その子は体格が良く泳ぎも早かったので、親やコーチが期待して選手コースに替えさせたのが理由だったのだ。
その子は水泳は好きでも人と競うのは好きではなく、元の普通コースに戻したら、また喜んで通い始めた。期待を掛け過ぎることが、その子のためにならない場合もあるのだ。