ソフトバンクの恨み節。楽天に「プラチナバンド割り当て」の可能性で漏れた本音

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携帯電話事業者にとって必要不可欠と言われるのが、プラチナバンドと呼ばれる700MHz~900MHzの周波数帯。現在、大手3社が独占しているプラチナバンドに関して、再割り当て議論が進んでいます。この動きを各社はどのように受け止めているのでしょうか。今回のメルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』では著者でケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川温さんが、ソフトバンクの宮川潤一社長が決算説明会で語った内容を詳細に紹介しています。

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プラチナバンド再割り当て「ないから欲しい」は通用しない

8月4日、ソフトバンクの決算説明会が開催された。LINEMOの動向については他のメディアが聞くだろうということで、個人的に宮川潤一社長に聞きたかったのが、プラチナバンドの再割り当てについてだ。

総務省で、3キャリアに割り当てられているプラチナバンドに対して、3Gサービスが停波するタイミングで巻き取り、新たに希望する事業者に割り当てる方向で議論が進んでいる。もちろん、このタイミングで割り当てられるとするならば楽天モバイルだろう。

総務省の有識者会議でもキャリアからの意見は出ているが、実際にキャリア関係者は、この議論をどう思っているのか。業界内で最もプラチナバンドに思い入れがあるであろう宮川潤一社長に本音を聞きたかったのだ。

質疑応答で質問したところ、開口一番「総務省とはあまりケンカはしたくないのですが」と困惑されてしまったがソフトバンクにおけるプラチナバンド獲得までの経緯を語ってくれた。

「900MHz帯は6年をかけて頂いた。その間、ありとあらゆる勉強をしてきたつもりです。私たちが持っていたのは2.1GHz帯だけでした。(総務省からは)『まずは言い訳なしで(いま持っている周波数帯を)使うだけ使ったらおかわりしに来いということだったので、根性論で15万局まで増やしました。最終的に18万局まで増やした上で(新たに)割り当てていただきました」(宮川潤一社長)。

つまり、当時の総務省は「足りないから欲しい」という状態でなければ、耳を貸さなかったというわけだ。

宮川社長は「5Gの大量トラフィックの時代になると、当時苦労して立ち上げた基地局が、結果的に私たちのトラフィックをオフロードするための局となっています。キャパシティのあるソフトバンクでいられるようになったので、結果的には感謝している」と語る。

当時のソフトバンクはプラチナバンドがないなか、手当たり次第に基地局を確保しまくっていたという印象だ。公衆Wi-Fiスポットをばらまいたり、イー・モバイルを買収したり、さらにはウィルコムを救済したことで、キャパシティのソフトバンクが確立できたように思う。

プラチナバンドの再割り当てについて宮川社長は「我々を含む3キャリアには既にお客さまがいる。巻き取りにはお客さまとの会話が必要となる。ぜひ丁寧に話を進めていただきたいと(総務省には)申し上げているところです。基地局はタワーを建てて、無線機を設置して、電波を出したら終わりというものではありません。毎年ソフトウェアのアップデートを、多い場合は年に2、3回のペースで実施しないと新サービスについていけない。ソフトウェアの代金も、数十億円かかることもあります。お客さまのサービスをより良くするために更新を行っていますが、あまりに短いような割り当て方針を取ると、ソフトウェアの更新が滞り、サービスの劣化につながると総務省には申し上げています」という。

確かにキャリアとしては、長年、使えることを前提として設備投資やアップデートを行っており、いきなり「巻き取る」と言われても、減価償却できないとなれば困ってしまうはずだ。

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