日本一のマンモス大学は利権の山か。日大理事長に事情聴取の背景は

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日本大学の附属病院の建設工事をめぐり、2億円超の資金を外部に流出させ日大に損害を与えたとする背任容疑で、東京地検特捜部が同大学の田中英壽理事長を任意で事情聴取したと産経新聞が独自記事で伝えました。田中氏と言えば、アメフト部の卑劣タックル事件後にも姿を現さなかったことが取り沙汰された人物。今回の事件でも自身の関与を否定しているようですが、なぜ特捜のメスは入ったのでしょうか?メルマガ『石川ともひろの永田町早読み!』著者で小沢一郎氏の秘書を長く務めた元衆議院議員の石川知裕さんは、日大、大学病院、アメフト事件、捜査する特捜側と、複数ある背景について解説しています。

政界激震の予兆/日大が特捜部のターゲットになった背景

日本大学に東京地検特捜部のメスが入った。日大と言えばアメフト部の卑劣なタックル事件で、田中英壽理事長の巨大な権力に注目が集まったのが2018年5月のことである。謝罪の場にも現れずマスコミを完全無視した姿勢が問題視されていた田中氏が、ついに特捜部のターゲットとなった。

日大は大学として日本最大の規模を誇り、社長さんの数は日本一とよく言われたものだ。卒業生の数が多いので必然的に中小、零細企業のトップとなって地元に戻る人が多くなるからである。現在も7万4000人を超える学生数で日本一を保っている。大学本体の運営事業だけでも多くの利権があるだろう。出入り業者からのキックバックは相当な額にのぼると思われる。

私自身も秘書時代、小沢一郎代議士が日大の大学院出身だったこともあって事務方と親しくした時期もあった。日大出身の経営者で「櫻門一郎会」という支援団体を結成してもらい、当時の瀬在幸安総長も参加していただいたが、小沢一郎が権力から離れるとともにご縁も少なくなり、現在の田中理事長とは直接のご縁はない。

今回の特捜部案件は病院施設に絡むものだ。近年、病院施設に絡んで受注しようとする業者は「いかに寄付をするか」が選定を左右すると言われている。大学病院内の薬局については、北海道大学医学部で昨年、業者選定のやり直しをする事態になった。この業者は、薬局の業務とは直接関係のない外国人研修生の寮を建設することを裏条件にしていた。

日大ではアメフト事件以来、内部告発が相次いでいたという。それだけ田中理事長による私物化が進んでいたと言える。日大だけでなく全国の大学でも同様の問題が起きているので特捜部としては一罰百戒の意味もあるのだろう。

かつて東京地検特捜部長だった森本宏氏が東京地検の次席検事として戻ってきた。直接、特捜部を指揮する立場である。総選挙が終わった後、すでに特捜部が着手しているテクノシステム事件とともに、政界に激震が走るかもしれない。

image by:Osugi / Shutterstock.com

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1973年北海道足寄町生まれ。函館ラサール高校、早稲田大商学部卒。96年2月から2005年7月まで小沢一郎秘書。同年衆院選で北海道11区から民主党公認で立候補して中川昭一氏らを相手に落選、07年3月に繰り上げ初当選。09年再選。10年1月、政治資金規正法違反容疑で逮捕、同年2月に起訴。12年12月、三選。同年5月、議員辞職。2017年10月、妻・香織が衆院議員に初当選。同月、公民権が回復。政界復帰に向け、コツコツと活動中!!! 著書『悪党』は5万部を超える大ヒット作に。そのほか、『雑巾がけ』など著書多数。

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