『カムイ伝』白土三平さん(89)死去、立ち上げに関わった『月刊漫画ガロ』の意外な出身マンガ家たち

2021.10.26
by gyouza(まぐまぐ編集部)
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代表作「カムイ伝」で知られる漫画家にして、『月刊漫画ガロ』の立ち上げにも関わった白土三平(本名・岡本登)さんが8日、誤嚥性肺炎で亡くなっていたことが「ビッグコミック」編集部より発表された。89歳だった。また、白土さんの実弟で「カムイ伝 第二部」の作画を担当していた岡本鉄二さんも4日後の12日、間質性肺炎で亡くなったことも明かされた。

白土さんは1932年に現在の東京・杉並区生まれ。父はプロレタリア画家の岡本唐貴(とうき)で、白土さんは幼少期、関西周辺を転々としていたという。

戦時中は長野に疎開し、戦後に東京へ戻った白土さんは、紙芝居作家などで生計を立て、その後に貸本漫画家に転じた。白土さんの「忍者武芸帳」を出版した貸本漫画の出版社「三洋社」を立ち上げた長井勝一氏が、三洋社を解散して1961年あらたな出版社として「青林堂」を起業。1964年には、白土さんの代表作「カムイ伝」を連載するための雑誌『月刊漫画ガロ』が創刊された。雑誌名の「ガロ」とは、白土さんの漫画「やませ」に登場する忍者「大摩のガロ」からとったと言われている。

白土さんは、この「カムイ伝」を連載するために「赤目プロダクション」を立ち上げ、多くの作品を量産していった。「カムイ伝」は江戸時代に被差別部落で差別に苦しむ人々の様子を描いた壮大なストーリーの長編マンガ。『ガロ』では1971年まで連載が続けられ、「カムイ伝」は学生運動に参加する学生たちの間で人気を博したという。同時期に『週刊少年サンデー』では「カムイ外伝」を不定期連載、その後『ビッグコミック』にて『カムイ外伝 第二部』(1982年〜1987年)、また同誌にて『カムイ伝 第二部』(1988年〜2000年)が連載されていた。

今回亡くなられた白土さんの代表作「カムイ伝」を連載するために漫画雑誌(『月刊漫画ガロ』)が創刊されたというのも驚きだが、その後の『ガロ』誌は個性的な新人漫画家の登竜門となり、名前を聞いただけでも驚くほど多くの有名漫画家を輩出しているのだ。

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