ここで参考までに前回、第48回総選挙の都道府県別投票率データを見てみる。全体的な傾向としては、東京・大阪などの大都市部では投票率は低くなる傾向がある。地方では大体その逆のことが言える。ただ個別にベストとワーストを見てみると、
第1位 山形県(64.07%)
最下位 徳島県(46.47%)
となり、その差は18%に迫る。山形も徳島も地方、誤解を恐れずに敢えて言えば同じような田舎である。こういった事実を見ると、一概に人口の多寡や高齢化の進展では片付けられない別の要因があるようにも思えるのである。
(編注:今回の総選挙の都道府県別投票率1位は前回に続き山形県で64.34%、最下位は山口県で49.67%でした。)
たぶんそれは最もお堅い言葉で言えば「教育」の力であろう。そして比較的やわらかい言葉を使うなら「大人のありよう」とでも言うべきお手本の存在であろう。
実は、市町村レベルで調べれば、選挙における投票率が毎回90%を超えるようなところもいくつかあるのである。国全体の投票率から見れば驚異としか言いようがないが、これらの自治体に共通するのが、親から子へごく自然に伝えられる「当たり前」という考えである。
別に無理をして善き人たろうとしている訳ではない。普通の人が当たり前の礼節を弁えるように、当たり前に選挙権を行使するのである。これは制度や施策といった肩肘張ったものではないだけに逆に尊敬に値することである。これは想像に過ぎないが、こういったところから選出される代議士はさぞかし鼻が高いのではないだろうか。
過去には「(所謂、無党派層は)関心がないと言って、(選挙当日は)寝てしまってくれればいい」などと発言した舌禍総理もいた。論外である。そして、たとえうっかりでもこんな発言が口から漏れ出てしまうような環境(つまりは国のあり方)を許容している我々国民も大概と言えば大概なのである。そんなふうに自嘲せざるを得ないような心持ち…実にかなしいことである。
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