歴代最多の受験者数。韓国版「宅建」資格試験に老若男女が群がるワケ

 

最近、住宅価格の上昇傾向が続いていることから、仲介手数料が大いに高くなったのも人気の要因だ。最近、施行規則の見直しで上限が500万ウォン(最大0.5%)へと下がったものの、ソウルのマンションの平均売買価格が12億ウォン(=1億1,000万円)を超えるだけに、依然、1件の取引が行われるだけでも大半の大手企業のサラリーマンの給料を上回ることになる。中堅企業に通うヤン(37)さんは「以前は公認仲介士を“お金がたくさん儲かる職業”とは思わなかったが、最近は違うように見える」とし「不動産ブームが起きて競売などにも関心が高くなり、自然に試験まで挑戦するようになった。試験に落ちても不動産関連知識を広げるというレベルで満足している」と述べた。

コロナで在宅勤務や対面授業などが多くなり、勉強する余裕ができたという意見もある。会社員の朴(29)さんは「在宅勤務をしながらどうしても会社に出勤する時より余裕の時間が多くなった」とし「長期的に転職なども考慮しているため、資産管理の専門性などが認められる公認仲介士資格証に挑戦した」と話した。

1983年に不動産仲介業法が制定され、1985年に第1回公認仲介士試験が始まった。2017年、韓国公認仲介士協会が発表した開業公認仲介士の現状によると開業公認仲介士のうち男性の割合は54%、女性は46%である。しかし40-50代だけは女性の割合が男性よりはるかに高い。40代の場合女性公認仲介士が62%、男性が38%だ。50代も女性(52%)が男性(48%)より多い。

不動産業界は、高まる公認仲介士の人気をただ傍観しているわけにはいかないという立場だ。韓国公認仲介士協会によると、1985年から昨年まで公認仲介士資格証の保有者は46万6,589人。そのうち約11万5,000人が現役で活動しているが、毎年約1万5,000人から約1万8,000人が廃業する。公認仲介士協会側は「コンビニより公認仲介士事務所の方が多いという話があるように、市場はすでに飽和状態」とし「今年、試験合格者が出れば、資格証保有者が50万人に迫るだろうが、資格証があっても、望むだけの地位を確保できないだけでなく、より熾烈な赤字生存競争が繰り広げられるだろう」と語る。

現行の試験方式は絶対評価で合格が決まる。資格証所持者がこれだけ増えると副作用も多くなるため、試験を管轄している国土交通部は、公認仲介士試験方式の変更を予告している。難易度を高め、評価方式を絶対評価ではなく相対評価に切り替え、専門性を高め、新規公認仲介士の需給を調整するというわけだ。

この人気ぶりは今後数年は持続しそうだが、韓国の不動産もいつバブルがはじけるかわからない状況であることから、この傾向が永遠に続くことはまずありえない。保険としてもっておくのはかまわないが、特に若者らは、きちんと就職する道を模索すべきことはいうまでもない。(無料メルマガ『キムチパワー』2021年11月13日号)

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韓国暮らし4分1世紀オーバー。そんな筆者のエッセイ+韓国語講座。折々のエッセイに加えて、韓国語の勉強もやってます。韓国語の勉強のほうは、面白い漢字語とか独特な韓国語などをモチーフにやさしく解説しております。発酵食品「キムチ」にあやかりキムチパワーと名づけました。熟成した文章をお届けしたいと考えております。

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【著者】 キムチパワー 【発行周期】 ほぼ 月刊

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