壁を破るのは「バカ」の力。TV番組「博士ちゃん」に学ぶビジネスのヒント

 

その後も、居酒屋で酒を飲んでは、「単に酒を飲んでも面白くないからこんなことをしよう」という話は続き、何度か打ち上げのための仕事をでっち上げた。

Tは、自分の本業でも面白いことを続けた。犬のための音楽というコンセプトで、犬のしつけのための音楽CDを作り、犬に聞かせるライブを行ったりした。モーツァルトの音楽を聞くと頭が良くなるという話があると、高速モーツァルトというCDを作った。幸いにもこれらの企画は当たったらしい。しかし、その何倍もの当たらない企画があるのは言うまでもない。

Tは「売れるものはつまらない」と思っている節があり、「つまらないもの、くだらないものが面白い」という感性を持っていた。それでも、「この企画、くだらないでしょ」と言いながらニッコリ笑う顔を見ると、あまりの馬鹿馬鹿しさについ笑ってしまい、「もう売れなくてもいいからやろう」という気になってしまうのである。「これでいいのだ」

3.「博士ちゃん」のブランド

世の中の変化の先頭を走っているのはバカだ。バカが走って流れを作り、流れができれば、ビジネスが発生する。儲かることは、後追いであることが多い。コロナで世界が止まって、空白が生れてしまった。先頭を走る奴が見えないから、後追いができない。先に誰もいない状態で走るのは怖いのだ。昨年実績がないからと言って、一昨年実績に準じていればいいというわけではない。最早、時代は変ってしまったのだ。

お金のために働く人は、どうすればお金が稼げるかが分からないと身動きが取れない。じっとしているだけだ。そして、周囲を見ている。誰かが儲ける道を見つけたら、追いかけようと身構えている。それでもバカは走れる。バカは状況を見ていない。自分の内面を見ているだけだ。そこに引っかかったら、目が「キラリン」と光り、「ワシはこれをやるのだ」と宣言するのである。

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