追悼・中村吉右衛門氏。鬼平で見せたトップリーダーのあるべき姿

トップリーダーの理想を「声、顔、姿」で表現

声と言葉。演技上でいうなればすなわち「セリフ」に相当いたしますが、これがいかに大切であり、観るものにインパクトをもたらすか。

歌舞伎役者の善し悪しは「一声二顔三姿」というのだそうです。

声が第一に来ておりますね。それほどまでに、声が繰り出す言葉すなわちセリフスピーチで言うところの「声によって繰り出される言語」というのは、人前に出る際はスピーチする経営者でも舞台に上がる役者でも、とにかく、ものすごくものすごく、重要なのだということです！

声！声！声なのです！

そして二番目に、顔すなわち顔貌と表情がくる。

まあ言ってみれば歌舞伎というのは遠目に見ますからね。

いまのテレビ俳優みたいに顔さえよけりゃいいなんてのじゃ、役柄の大きさや懐の深さ、人間力みたいなものは表現しきれやしないんですよ。

表現というのは、全身。

顔がよけりゃいい、じゃない！

と改めて理解させられますね。

話が飛びましたが、声顔そして、お姿全体なわけです。

やはり全身を人前に出して、堂々と存在する！

これが、皆様方のスピーチでも、大事だっていうことです！

話が飛びましたが、もとに戻しまして。

声、顔、姿。これら三拍子を、鬼平という役柄において、抜群のバランス感覚とセンスと個性と技量によって、我らの目の前に現れてくだすったのが、吉右衛門さまなのです。

この妙えなる調べによる存在感。

これを一言で表すなれば、もう…

「渋い」

かっこよすぎる！

鬼平。渋い！

鬼平をボイスイメージ分析

もう相当前に分析しておりました。ここからメソッドが出来上がっていると言っても過言ではない？

ボイスイメージとは、声（すなわち言葉も含む）による印象、のことです。

鬼平の声は…

「低め、ゆっくり、たっぷり耳に入る大きさ」

もうリーダーとして理想的な声。ボイスイメージの考え方では、声を8つにタイプ分けしておりますが、その中の「王様」に相当します。

古今東西、トップリーダーはこの、大きめ、低め、ゆっくりめのお声なんですよ。

鬼平の声には、さらに特徴がありまして、「声の密度が高め」なんです。

低めで密度が濃い、ということは、すなわち「深い音」ですね。

この声質の方が、例えば火付盗賊改として盗人を捕まえる瞬間などはですね、興奮するわけです、すると声のトーンは、高くなりますね。

そうしますと、トップリーダーのパワーが一気に炸裂し「威厳、権威、威圧」を体現することになります。

ヒエーーーーーーーー怖い！ひれ伏します！

そんな風になるわけですね、お相手は。

※本記事は有料メルマガ『スピーチコーチ・森裕喜子の「リーダーシップを磨く言葉の教室」』の2021年12月1日号の一部抜粋です。この続きと全文にご興味をお持ちの方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。

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2021年12月配信分

• 中村吉右衛門さま　-理想のトップリーダー「長谷川平蔵」を表した名優-(12/1)

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