MAG2 NEWS MENU

叫ばれるDX化。何でもデジタル化することが本当に正しい道なのか?

さまざまな業界で叫ばれるDX化。しかし、何でもデジタル化することが本当に正しい道なのでしょうか?無料メルマガ『飲食店経営塾』の著者で飲食店コンサルタントの中西敏弘さんは、そうした動きを疑問視。デジタル化することによる弊害の例を挙げながら語っています。

デジタル化すべきことと、アナログの方がいいことを見極めよう!

DXという言葉は聞いたことがあると思います。DX(Digital Transformation)とは、デジタルトランスフォーメーションのことであり、「デジタル技術を浸透させることで人々の生活をより良いものへと変革すること」、であり、「既存の価値観や枠組みを根底から覆すような革新的なイノベーションをもたらすもの」とネットで調べてみると書いてありました。

飲食業界でもDX化はどんどん進んでおり、特に、このコロナ禍で大手企業ほどそのスピードが増したのではないかと思っています。

ただ、僕は、なんでもデジタル化すればいいというわけではないと思います。デジタル化しすぎることで、かえって弊害もでている部分もあると思っています。

例えば、売上管理。本当にこの20年近くで技術が進歩し、会社側からすると色々な数値が管理でき、盗難なども防ぎやすくなってきましたが、反対に、スタッフの数値への意識は年々低くなってきました。なぜなら、自分で数字を計算したりする、数字を見たりする機会がどんどん減ってきているからです。

スタッフの労働時間の削減、作業の軽減には、すごく繋がっていますが、数字への意識は本当に低くなりました。昨日の売上は言えても、昨日までの累計売上や月間売上、原価率、人件費率なども、昔に比べると即答できる人は少なくなりました。もちろん、デジタル化だけが問題ではなく、会社における教育面もその原因ではあるのですが、間違いなく20年前よりも数字への意識は低下しています。

また、商品作成に関しても、動画で撮影されたものが店舗に配信され、それももとに、新商品の作成ができ、これまでは1カ所に集まって集まって、もしくは担当者が各店に行って調理指導をするということも必要としない、システムも開発・導入されています。

ただ、これまた、商品つくりに関しては、絶対に「動画」で撮影したものをそれをそのまま店舗に送って終わり、ということは絶対にするなと言っています。

なぜなら、動画のとり方にもよりますが、動画で「ただ手順」だけを説明しているだでは、例え、とりあえず作れても、「あるべき姿」の商品にはほど遠いからです。

動画で、商品作成のコツ、ポイントを説明しながらであれば、まだ、いいのですが、やはり、一人一人動画を見ての捉え方は様々なで、実際に作っているところを確認しながら進めないと、最初の段階から、違う作り方をしていたり、押さえるべきところを押さえないで作るため、商品のブレに繋がっていることが多々起こります(僕のご支援先でもありました)。

なので、これらのシステムを“上手く活用する”ことがすごく重要であると僕は考えています。

先述しましたが、作業軽減になることはすごくいいこと。しかし、その作業軽減によって、スタッフの仕事の質を下げたり、商品の質をさげるような要因になっては、DXは本末転倒であり、アナログの方がいいことはアナログで仕事を進めるべきではないでしょうか?

例えば、数字管理で言えば、既存のレジを使用しますが、月に一度、会社が拾ってほしい数字を、敢えて手書きで書かせることで、少しでも数字が頭に入るような工夫を最近は行うようにしています。

デジタル化することで、省人化すること、作業の軽減になるのはいいことですが、それが本当にスタッフのためになっているのか、店のためになっているのか?それをしっかりと見極めたうえでDX化を進めていきましょう!

image by: Shutterstock.com

中西敏弘この著者の記事一覧

若手飲食店コンサルタントとして、人気急上昇中の飲食店経営コンサルタント、中西敏弘が「売れる」飲食店作りの秘訣を論理的に、そして分かりやすく解説します。

無料メルマガ好評配信中

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 飲食店経営塾 』

【著者】 中西敏弘 【発行周期】 毎週2回

print

シェアランキング

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MAG2 NEWSの最新情報をお届け