イ・ジェミョンにとっては(ひいては与党民主党にとっても)、大統領選挙当日まで「候補」として生き残ることができるかどうか、くらいの重大な局面となっている。ここで野党から出ているユン・ソンヨルのほうになんの問題もなければ、すでに勝ったも同然といえるのだけれど、いかんせん、上述したようにこちらはこちらで奥さんの虚偽経歴、書類偽造問題のせいでユン・ソンヨルの面子丸つぶれと言った形になっている。
ユン・ソンヨルが大統領候補として浮上してきたのはいうまでもなく不正に彩られたチョ・グクを追い詰めたゆえである。チョ・グクに痛めつけられ、チュ・ミエ(法務大臣)に痛めつけられ、さらにパク・ボンゲ(法務大臣)に痛めつけられても、堂々と最後まで正義を貫いた姿が国民に感動を与えたからだ。それが今、彼の奥さんの虚偽経歴や書類偽造問題を抱え込んでしまった。結婚する前の出来事であるとはいえ、顔の整形にはじまり名前を何度か変えたり、経歴はほぼ全部嘘といったことになっていて、彼女の中でほんとのものが一つでもあるのかといった状況だ。
夫婦なのに出身大学のこととか大学教授になったのならその前にどんなことをしていて大学教授になったんだい、などと普段の日常生活の中でお茶などしながらお互いに(本当のことを)しゃべるんじゃないのと筆者などは思ってしまうのだけれど、そうでもない夫婦も多いのだろうか。しかもユン・ソンヨルは腕利きの検事なのだ。ユン・ソンヨルは50歳を越えて結婚しているから、結婚できたことに満足し、根掘り葉掘り相手の素性などについて聞いたりかんぐったりすることはそれ自体が卑怯のようで、憚られたものであろうか。とにかく検事の奥さんが、とんでもない嘘の塊でできていたのだから、こちらも驚き桃の木だ。ユン・ソンヨルを応援する立場からすると、実に残念で情けない事態となっている。
韓国の中では今や、与党も野党も候補を「全面切り替え」すべきじゃないのか、などという声も上がっている。与党はイ・ナギョンに、野党国民の力はホン・ジュンピョに替えろというわけだ。党内予備選挙で正式に決まった二人だからそんなに簡単に代替することになることはないと思うけど、2022年第20代大統領選挙は今後いかなる動きになっていくのか目のはなせる日は一日もない。
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image by: 李在明 - Home | Facebook