「コロナ禍は今年中に収束」と断言する長尾和宏医師はオミクロン株をどう見るか

 

質問 医療界全体は、どういう動きになりますか?

お答え

アフターコロナとともに、医療界は大編成の時代に突入します。

今まで、限られたパイを奪い合ってきましたが、その原資(社会保障費)が枯渇するので、医療機関の倒産やM&Aの時代に入ります。つまり、どうでもいい病院や診療所は淘汰されていくでしょう。しかし、地域にとって必要な医療資源はすごく伸びます。

要は、40年間のバブルが弾けて本来あるべき姿に近づきはじめます。

地域医療構想を推し進めてきた厚労省と財務省はコロナちゃんに感謝しているでしょう。

これは、今年~来年あたりが大きな転換点になります。医者はさらに二分化するでしょう。

質問 在宅お看取りは増えますか?減りますか?

お答え

これは、まちがいなく増えます。コロナがすでに後押ししています。

今後20年間で在宅看取り数は倍増すると想像します。いや、それ以上かな。終末期は、自宅などの病院以外の場所で過ごす、ということをコロナ禍で多くの市民が理解しはじめました。

質問 尊厳死議論は進みますか?

お答え

これも、まちがいなく進みます。思えばこの10年間、リビングウイルをめぐる法的担保の議論は牛歩の歩みでしたが、「尊厳死、平穏死、自然死」という考えがジワジワと広がっていると感じます。『痛くない死に方』『けったいな町医者』の映画の舞台挨拶で全国行脚していると、肌で感じます。コロナが終われば、国会においても終末期議論は再開されるでしょう。

ただし、「リビングウイル」ではなく「人生会議」と名前を変えるかもしれません。

人生会議が法的担保として議論される(まだ一度もされていませんが)ような気がしています。

質問 認知症医療はどのような方向に?

お答え

「忌み嫌う特殊な病気」から、「老化だから仕方がない」という認識に徐々に世間の受け止めかたが変わってくるでしょう。4種類の抗認知症薬は、もう特許が切れるので、処方量は増えることはないでしょう。当面、新薬も出てこないでしょう(これに関してはまた後日!)。

いまだに「ユマニチュード」という言葉を知らない残念な医療者が9割でしょうが、徐々に普及して、適切な認知症ケアが当たり前という医療に時間をかけて変容することでしょう。

認知症をめぐる医療は、今よりも良くなると思います。この20年間が最悪すぎました。

日本尊厳死協会副理事として、日々「死」と向き合う医師・長尾和宏さんのメルマガ詳細・ご登録はコチラ

 

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