私も、今回の噴火ですぐに思い出したのは、1991年に発生した「平成の米騒動」でした。1991年の日本は記録的な「冷夏」に見舞われ、全国的な「コメの不作」が発生したのです。
政府は備蓄米を放出しましたが、それでも足らず、タイやアメリカなどから米を輸入する事態となり、スーパーや米穀店には買い物客が長蛇の列を作りました。
考えることは皆同じで、現在、SNSなどネット上には「平成の米騒動」や「令和の米騒動」といった文字が飛び交い、食糧不足を心配する記事がアップされています。
この91年に起きた「冷夏」を引き起こしたのが、それに先立つ、フィリピン「ピナツボ火山」の大噴火でした。1991年6月7日に発生した「ピナツボ火山」の大噴火は400年ぶりといわれる大きなもので、「20世紀最大の噴火」と言われました。
ピナツボ山は断続的に大噴火を繰り返し、800名以上が犠牲となりました。被害は甚大でした。
ピナツボ山から40キロほど東に位置するアメリカのクラーク海軍基地、及び、南西75キロに位置するスービック海軍基地という重要な米軍基地が、この噴火の影響により使用不能となり「放棄」されてしまったほどです。
噴煙は1万9000メートルに達し、大量の「硫酸エアロゾル(マイクロメーターサイズの主に硫酸から成る微粒子)」と粉塵が成層圏に撒き散らされました。
これらは、1年をかけて、大気圏全体に拡散し、太陽光線を遮(さえぎ)り、北半球で0.5から0.6度、地球全体で0.4度、平均気温を押し下げたのです。
これが、日本でも「冷夏」を引き起こし、米の不作の原因となり、「平成の米騒動」が起きました。貴方も、あの時食べたタイ米のぱさぱさした味を思い出したのではないでしょうか。
今回の「フンガ・トンガ火山の大噴火」が、一時的な寒冷化を引き起こし、「令和の米騒動」が起きるのではないかと心配するのも無理からぬことです。
しかし一方で、今回の場合は、91年のピナツボ山の様にはならないのではないか、という予測も出始めました。
日本の稲作に関して言えば、第一に、その後、米の品種改良が進み、冷害に強い品種が増えたこと。
第二に、フンガ・トンガ島が南半球にあり、北半球への影響が少ない、あるいは遅れる可能性があるということ。
第三に、ピナツボ山の噴火に比べ、今回のフンガ・トンガ火山の方が噴出物の量が少ないこと、などが理由として挙げられています。
最後の、噴出物や「エアロゾルの噴出量」については、今のところの大雑把な観測に基づくものであり、今後も同様の大噴火が起こらないという保証はありませんので、これからどうなるかは不透明です。
詳しい観測データを待つ必要もあります。トンガとの通信が途絶していることもあり、現地の被害状況すら分からないのが現状です。(何より、トンガ王国への援助活動を最優先して、日本も積極的に実行すべきです)
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