こうした社会的な問題に加え、15日(土)には、とんでもない「自然災害」のニュースが飛び込んで来ました。同日の13時10分頃、南太平洋トンガ王国の火山島「フンガ・トンガ」付近で大規模な海底火山の噴火が発生したのです。
火山から噴き出た灰色の噴煙は2万メートルの上空にまで達し、日光が遮(さえぎ)られ、付近では真昼にもかかわらず薄暗くなったということです。火山噴火の爆発音は、約2400キロほど彼方のニュージーランドでも聞こえたと言いますから、その噴火の規模の大きさが分かります。
ちなみに、8000キロほど離れた日本や1万キロ以上離れた米国アラスカ州でも、噴火の衝撃波「空震」(気圧の急激な変化)を観測しています。
ネット上には、気象衛星「ひまわり」などが宇宙から撮影した噴火時の映像が出回っています。これをご覧になると、今回のフンガ・トンガ島の噴火が如何に大規模で異様なものかが分るでしょう。
通常の規模の火山の噴火(たとえば、昨年8月に噴火して大量の軽石を吹き出し、それらが沖縄などに漂着した小笠原諸島「福徳岡ノ場」の噴火)では、火口から吐き出された噴煙が風に流され、まるで煙突などから出た煙のように白く長く尾を引いている映像が撮影されています。
ところが、今回のフンガ・トンガ島の噴火の場合は、濃い灰色の噴煙が同心円状に膨らみ、瞬く間に海上を覆ってしまいました。
直径が520キロ(東京・大阪間が約540キロ)にもなる噴煙の「傘」(関東地方をすっぽり覆ってしまう大きさです)は宇宙から見るとまるで「巨大な葉牡丹(はぼたん)」といった様相を呈しています。
また、この噴火による津波(通常の津波とは違うようですが一応「津波」と呼ぶことにします)は太平洋周辺の一帯に押し寄せ、日本やアメリカ大陸でも被害を出しています。
日本では、16日(日)に日付が変わった深夜から早朝にかけて、各地に津波が到達しました。津波の高さは1メートル強か、それ以下のものでしたが、独特なうねりを伴っていたためか、四国や九州などでは何十隻もの船が転覆したり沈没する被害が出ています。
この津波に関するニュースは、16日の朝、ずっと地上波テレビで流れていました。
「少し大騒ぎし過ぎではないか」と感じた方も少なくなかったとは思いますが、これまで人類が体験した津波は、ほぼ全てが「地震」を原因とするものであり、1960年に日本で大きな被害と多数の犠牲者を出した「チリ津波」も、南米のチリ海溝で発生したマグニチュード9.5の巨大地震が原因でした。
ところが、今回の津波の原因は「海底火山の噴火」によるもので、そうした種類の津波は気象庁にとっても専門の研究家にとっても「初めて」と言っても良いものだったからです。
実際、津波の高さはそれほどでもなかったにもかかわらず、予想外の被害が日本や米国、南米各国でも報告されています。
そのようなわけで、「1000年に一度の噴火」と驚きを隠さない専門家もいます。問題はこの噴火が今後、地球環境全体に及ぼす影響の大きさです。
いつの間にか心理学的な知恵もついてくる、富田隆さんのメルマガ詳細・ご登録はコチラ