李在明氏は2021年11月22日、フェイスブックに本人が掲げる「ささやかだが確かな幸せ」シリーズのうちの11番目の公約として「医療法を改正して『産婦人科』の名称を『女性健康医学科』に変える」と書いた。女性たちの医療へのアクセス性を高めるという趣旨のようだ。李候補は名称変更の理由として「日帝残滓」を取り上げ「依然として女性の健康と疾患を『婦人病』と呼ぶ時代錯誤的な認識が未婚女性の病気を助長している」と主張した。これに対し、インターネットユーザーの間では「未婚女性の産婦人科への接近性を高めるという趣旨には同意するが、『日帝残滓』のためという理由は時代錯誤的反日扇動」と批判が殺到した。
簡単に言えば李在明氏は、日本で作られたものは、ことばであれなんであれすべからく「嫌」なのである。しかし、実際に韓国社会で日常的に使用する近代語のほとんどは、日本の翻訳を通じて入ってきたというのは周知の事実だ。学校教育を受けた人なら誰でもそれくらいは知っている。特に韓国だけでなく中国・台湾など漢字圏の三か国が現在使用しているほとんどの現代医学用語は、東洋文化圏で最も早く西洋医学を導入した日本によって翻訳されたものである。18-19世紀、日本の江戸時代のころにオランダから伝来した医学に接し、西洋医として活躍した杉田玄白は、彼の解剖学関連の医学翻訳書『解体新書(ターヘルアナトミア)』で、肉と泉を組み合わせ「腺」という言葉を作り出し、「甲状腺」という単語を見事造語した。「膵臓」という言葉も同様だ。
釜山大行政学科のある教授は、「西洋医学用語を日本が翻訳して仲介してくれたわけなのだけれど、そうした単語を全部使わないことにすれば途方もない混乱を招く。結局、医学用語が日本から由来したということで整合性を争うのは妥当性もない。李在明氏の主張の根本意図を見るのが重要だ」とし「女性保護という局面より反日心性を煽り刺激しようとするもう一つの選挙戦術というのが根本意図であり本質」と指摘した。さらに同教授は「『大統領』も日本から来た言葉だから、イ・ジェミョンはその名前から変えてから出馬しなければならない」とし「『民主』も日本から由来したのだから、その党名も変えなければならない」と批判した。
「日帝残滓の清算」を取り上げた李候補の論理どおりなら、韓国の日常生活用語はもちろん医学用語全体を丸ごと変えなければならないという指摘だ。これに対しネットユーザーらは、「兄嫁への悪口雑言を聞いた瞬間(李在明が自分の兄嫁と口論する録音テープがネットなどに流通している)、あなたの口で女性を論じることはできない」「健康、医学も全部日本が作った(翻訳した)単語だ」さらにまた、「李在明式のアプローチなら、大韓民国のすべてが日帝残滓だ」「とんでもない宣伝扇動で2021年の国民を自分の政治的道具にしようとするなんて、本当に悪い政治家」「民主党」という言葉も日帝残滓だ。党名からまず変えろ!」「李在明が大統領になったら超多忙になることだろう。弁護士、大統領、民主主義、共産主義、経済、哲学、民族、共和国、放送、野球、物理学、競争、価格、株式などなど、際限もなく変えなければならないのだから」と指摘した。
このように、李在明が大統領になったあかつきには、対日関係は今の文政権以上に冷えたものにならざるをえないと筆者は見る。反日フレームが完全に李在明の心性の中に根差しているからだ。ことあるごとに反日扇動がなされるんじゃないかと思うと、彼にだけは当選してほしくない。韓国に住む日本人は今はかなり多い。みんな李在明の不当選を願っているはずだ。もっとも、李在明の当選可能性は尹錫悅(ユン・ソンヨル)よりは低いというのが筆者の見立てでありそれゆえ多少の安堵はあるのだけれど。
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