北京冬季五輪の開会式の感想を一言でまとめれば、「静かな情熱」だと言いたい。それで、この開会式を見て、東京の思いは?と問いかけたい。因みに、開会式には冒頭のビデオで24節気を採用し、これは日本人にとっても親しいはず。
コロナ時代、夏と冬のオリンピックを日本と中国が担う。それも運命の共通点の一つ。東京五輪と北京五輪、一つの重要な共通点は環境に配慮すること。半年前に話題になっていた東京五輪の段ボールベッドと今回の北京五輪開会式の小さな聖火は、同じく世界に向けて、エコ対策を呼び掛けたわけだ。
「点火」ではなく、「不点火」「微炎」とすることで、低炭素・環境保護というオリンピック史上革新的なグリーン・オリンピックのコンセプトを伝えることができた。
ところで、ネット上では、「北京五輪の開会式を見て、東京五輪の開会式がどれだけ酷かったか、改めて思い知らされましたね。発想が内向きで、見栄ばっかり張って。ああ恥ずかしい」という意見があった。これは非常に鋭い指摘だ。
確かに、東京五輪の開会式の演出を巡ってのいろいろな出来事は、日本の内向き姿勢のすべてを客観的に暴いた。
特に印象に残ったのは、東京五輪の開会式の企画・演出に携わっていた数人のアーティストの20年以上前の欠点も叩かれ、オリンピックの舞台から追い出したこと。他人の過去を声高に難癖つけることに社会全体でエネルギーを注ぐことは残念に思えてたまらなかった。
無駄な争い、内部対立に時間を費やすことは中国のネット用語で言えば、「内巻」だという。日本社会の「内巻現象」も顕著だろう。日本人が過去から抜け出せず、人に寛容になれないとしたら、良い未来はないだろう。
後の祭だが、世界の北野武を東京五輪開会式の監督にさせればよかったのに。
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