時価総額が過去最大の下落。いま旧Facebookの「Meta」に起きている事

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現在でもGAFAの一翼を担ってはいるものの、数々のトラブルでブランド価値が毀損された感も否めないMeta(旧Facebook)。先日は時価総額の下落が過去最大を記録しましたが、いったい同社に何が起きているのでしょうか。今回のメルマガ『週刊 Life is beautiful』では「Windows95を設計した日本人」として知られる中島聡さんが、Metaが直面している問題として4点を挙げ、それぞれについて詳細に解説。その上で、同社が今すぐ取るべき動きを提案しています。

プロフィール中島聡なかじま・さとし
ブロガー/起業家/ソフトウェア・エンジニア、工学修士(早稲田大学)/MBA(ワシントン大学)。NTT通信研究所/マイクロソフト日本法人/マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。現在は neu.Pen LLCでiPhone/iPadアプリの開発。

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Meta(旧 Facebook)が抱える問題点

Metaの株価が、決算発表直後に暴落し、時価総額の下落としては、過去最大のものになったと報じられました。Metaがどんな問題に直面しているかについて、少し深堀して考察したいと思います。

1番の問題点は、Facebook / Instagramなどの既存のサービスに、若いユーザーが獲得できていない点です。これは、SNSの宿命と言っても良いもので、新しいもの好きなティーンエージャーは、Facebookのような「枯れたサービス」には見向きもせず、Tiktokなどの新しいサービスに、刺激を求めて流れてしまうのです。

以前のFacebookであれば、Instagram、WhatsAppを買収したように、若い人たちに人気が出始めたライバル・サービスを「青田買い」することにより、「SNS業界でのNo.1の地位」を維持し続けることが可能でした。しかし、ここまで大きくなり、独占禁止法の観点からの監視が厳しくなった今、Tiktokのようなサービスを買収することは許されないのです。

今回、Metaは創業以来初めて、アクティブ・ユーザーが減少したことを報告しましたが、これは一過性のものではなく、Facebook+Instagram+WhatsAppという三本柱の「ピークアウト」が始まったと考えて良いと思います。

この問題に関しては、Metaは、InstagramにReelsというTiktokに酷似した機能を追加して対抗しようと試みていますが、私はとても難しいと見ています。若い人たちがTiktokに惹かれているのは、そこに作られたカルチャーであり、それをInstagram上に作ることは簡単ではありません。

Metaが本当に必要としているものは、FacebookやInstagramだけでなくTiktokすら古く見えるような新しい魅力的なサービスですが、それを「企画・設計」することは非常に難しいのです。星の数ほど誕生するベンチャー企業がさまざまな試みを行い、そのうち1つが自然淘汰によりティーンエージャーの間で爆発的な人気を得る、そうやってSNS業界は進歩して来たし、今後もそれが続くのです。

独禁法の縛りにより、ベンチャー企業の買収が出来ないということは、Metaには、その「自然淘汰の果実」を収穫することが出来ないことを意味するのです。

2番目の問題は、Facebookというブランドイメージの低下です。Metaは独禁法だけでなく、プライバシーの観点からも、政府やメディアからさんざん叩かれており、それによるブランド・イメージの低下は、ユーザーのアクティビティだけでなく、社員のモラルにも悪影響を及ぼしています。

これを指摘した記事を目にしたことはありませんが、私は、社名をMetaに変更した理由の一つは、ブランドイメージに傷がつき、かつ、アクティブ・ユーザー数がピークアウトしつつあるFacebookをそのまま社名として使い続けるのは賢くないというものだったと解釈しています。

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