欧米では、プーチンは、中国の後ろ盾があるからと思ってウクライナ侵略を決断したのであり、もしそうした期待がなければ実行しなかっただろうという「中ロ一心同体」説も広まりつつあります。
● 『中国とロシアは一心同体』ウクライナ侵攻で米専門家指摘 「プーチンは中国のサポートがなければ…」
もっとも、中国にとってウクライナは友好国で、習近平主席は今年1月に両国の国交樹立30周年を祝うメッセージをゼレンスキー大統領に送っています。また、国際世論を敵に回すことになるので、ロシアと一心同体というイメージは避けたいところでしょう。
しかし、それでもロシアに同調し、ウクライナ人から敵視されるまでの事態になっているということは、台湾や尖閣の侵略に際して予想されるアメリカや日本、国際社会の反発に対し、ロシアを味方につけておきたいという思惑があるということだと思われます。それだけ、台湾や尖閣が危ういということの証左でもあります。
3月4日からは北京でパラリンピックが開催されます。オリンピック時同様、選手たちのスマートフォンから中国への情報漏洩が懸念されており、日本を含め、政府がスマートフォンを配布して警戒を呼びかける国も増えているという、異常な状況になっています。
北京五輪、パラリンピックのスローガンは「一起向未来(一緒に未来へ)」ですが、とてもそのような世界情勢ではありません。そしてその分断を後押ししているのが中国なのです。
北京冬季五輪では、中国の大会組織委員会は、外国選手が中国の人権問題を持ち出して中国を批判するようなことがあれば、中国の法律にもとづいて処罰すると恫喝しました。
● 【北京冬季五輪】 選手が人権問題で発言なら処罰も 組織委が警告
各国では選手たちに対して中国での政治的発言を控えるように警告していたため、帰国後になってようやく中国批判を行う選手たちの発言が大きな話題ともなりました。これも言論封殺する独裁国家の異常さが際立ちました。
● 「極めて無責任」北京五輪の金メダリスト、人権問題が指摘される中国での開催決めたIOCを批判
では、パラリンピックでロシアのウクライナ侵略への抗議や戦争反対を唱えた場合はどうなるのでしょうか。北京五輪開会式で流れた『イマジン』を歌うことは政治活動にあたるのでしょうか?そういえば、香港での反中デモでは、自由を求める市民のメモを貼り付ける「レノン・ウォール」が香港のみならず、世界中に広がりました。
● 香港全土に広がる抗議の波。 壁一面のポストイットに込められた市民の怒りと祈り
反ロシアの主張は、反中国へと向かう可能性があります。ウクライナ侵略もウイグル弾圧も重大な人権侵害であり、ロシアへの非難が中国への非難へと転化することは容易に想像がつきます。
とはいえ、これだけ世界中が注視している大問題に、選手たちが口をつぐむというのも不自然ですし、「一起向未来」というスローガンにも反します。中国としては、自分たちに火の粉が降りかからないよう、戦々恐々としていることでしょう。北京冬季五輪以上に、パラリンピックは独裁国家の異様さが明らかになるのではないかと思います。
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