【料理に異物】ステーキけん社長が語る、最高にスマートな対処法

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頼んだ料理に異物が入っていたら

『<ロードサイドのハイエナ> 井戸実のブラックメルマガ』 178号店

先週あるレストランで会食をしていると、僕の小鍋に小さい虫が入っていました。小さい虫で羽のついている虫でした。ゴキブリさんではありません。本当に小さい虫です。

料理は結構食べてしまっていたけど、レンゲにその虫をすくってスタッフを呼び、

「虫が入ってたから気をつけてね」

と優しく伝えると、顔を青くして「すぐに作り直してお取り替えします!」と言うので、結構食べていたということもあるし、実際そんなに気にしないタイプなので、

「大丈夫。いいから新しいレンゲだけ頂戴」

と言って、レンゲをもらい残った出汁も虫をよけたあとそのまま飲みました。

その後何度もホールのサービスの責任者の方がお詫びに来てくれましたが、「本当に大丈夫なのでいいですよー」と言って、最後見送りの時までお詫びされました。飲食業に携わっている立場としては、異物混入は絶対に許せないし、どんな事情があったとしても店側の過失は100%で、弁解の余地はありません。お客様の命を預かっている商売なので、できる限り異物混入を防止する対策をしないとなりません。

でも、実際ゼロにすることは物理的に不可能なのが現実です。

大騒ぎをするのは逆効果

そんな事態に直面した時に、ヒステリックに大騒ぎする人とかいますが、本当にもったいないと思います。店側も気まずいだろうし、何よりその日の食事が台無しになってしまいます。

笑顔でお店のスタッフに「気をつけてね」と言って許せば、その日の食事は、お店から挽回しようと最高のサービスを受けられるはずだと思うのです。前にも「グローバルダイニング」のお店で、頼んだグラスワインに小さいコルクのかけらが浮いてたんですね。抜栓の時に落としてしまったんだと思うのだけど、それに気づいて指をグラスの中に入れて除去しようとしていると、その様子にスタッフが気付いて近寄って来たんですね。

それで、「申し訳ありません!すぐにお取替えします!」と言って下げようとしたので、「全然いいよー。気を付けてねー」と笑顔で返した訳です。そのワインを飲みきり、次のグラスワインを頼んだ際に2杯分ぐらいはあろうかという量のワインを注いでくれたんですね。先ほどのお詫びだとスタッフが伝えてくれて。

こういう見返りを期待する訳ではないですが、結果的に言えばこれは全員ハッピーですもんね。

ワインをこぼされた時にはどう対処したか

前にも書いたことがあるけど、あるレストランでホールスタッフの女性が僕の横でトレンチをひっくり返したんですね。その日は、よりによって白いパンツを履いてたんですよ。そこにトレンチから倒れた白ワインが白いパンツにかかったのね。その女性スタッフはもうパニックですよ。言葉が出ないぐらい動揺してたな。マネージャーもすっ飛んで来て僕のパンツを拭いてくれて。そしてこの先どんな要求をされるんだろうと怯える彼女に僕が言った一言。

「赤ワインじゃなくて良かったね」

ですよ。爽やかに笑顔で。多分あの女性スタッフ、惚れたね。僕に。自分自身悦に入ったもん(笑)。

彼女は今もレストランのウェイターをやっているかどうかわからないけど、あの時のシーンは忘れられないだろうなぁ。

まぁそれはさすがに極端だけど、虫の混入もそうで、そういう振る舞いをすることにより、“虫が入ってて最悪だった!”という食事から、“虫が入ってたけど一生懸命挽回しようと良くしてくれた”と幸せの食事に変わるのかと思います。

くれぐれも提供者の立場で異物混入を正当化しようなんてことは思っておりません。何が理由でも許されません。ただお客の立場でそういう状況に遭遇した時は、その日の食事の機会を大事にするための振る舞いをした方が絶対得だと思うんですよね。

でも、デカイゴキブリ出て来たらさすがに発狂するけどね……。

 

『<ロードサイドのハイエナ> 井戸実のブラックメルマガ』 178号店
著者/井戸実
神奈川県川崎市出身。工業高校を卒業後、寿司職人の修業を経て、数社の会社を渡り歩く。2006年7月にステーキハンバーグ&サラダバーけんを開業し同年9月に㈱エムグラントフードサービスを設立。
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