「国際廃炉研究機構」解散報道に思う。フクイチ事故から日本は何を学んだのか

 

現在のフクイチは、ほとんどの構内で防護服は必要ありません。しかし、使用済燃料プールの中には燃料が残っていますし、原子炉内部の核燃料が溶け、さまざまな構造物と混じりながら冷えて固まった「燃料デブリ」も存在しています。また、「汚染水」についても、発生量の低減や外部環境への漏洩防止を実現しているものの、今後も対策を続けていく必要がある。

この現実を私たちは、どう受け止めればいいのか。いわずもがな、原子力発電は国が進めた事業であり、福島第一原発で作られた電気を使っていたのは、東京に住む「私」たちです。あの原発事故から11年も経つのに、原因とその責任に関する議論が尽くされているとは言い難い現実もあります。

6年前、私が見た現場は、実に活気に溢れていました。行き交う作業員の方たちが「こんにちわ!」「ご安全に」と、明るく挨拶していました。作業員の方たちに、「この仕事を辞めようと思ったことはないですか?」とうかがってみたとろこ、ほぼ全員が、「全くないです。一度もありません」と即答。

「この先もずっとここで働いていくのですか?」との問いに、「はい。事故前からずーっとここで働いています。この先もここで働きます」力強くこう答えました。

その一方で、原子炉周辺、特に3号機付近は放射線量が高く、爆発でぶっ飛んだ建屋の屋根や、津波で曲がった柱は、テレビに映し出される景色と比べられないほど壊滅的。事故当時、この現場にいた人たちの壮絶な戦いは、私の想像する何千倍、いや何万倍も厳しく、しんどいものだったことが容易に想像できました。

私は震災のあと何度か福島に足を運びました。原発で潤った町が、原発で壊れ、人がいなくなった村に、除染作業員たちがたくさんいました。村には至る所に、大きな黒や青色のビニール袋が積み上げられていて、それを見る度に、「人間ってなんて愚かなんだろう」と切なくなり、「人間ってなんて滑稽なんだろう」と悲しくなった。

私たちが、原発の事故から学んだことはなんだったのか。そして、何を後世に伝えていかなきゃいけないのか。今回のIRID解散の報道に、答えのない問いを突きつけられている気がしてなりません。みなさんのご意見を、ぜひ、お聞かせください。

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