日本での報道と海外の報道を比べてみることで、私たち日本人が知り得ない事実が浮かび上がってくることが多くあります。メルマガ『在米14年&起業家兼大学教授・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』の著者である大澤先生は、今回、岸田総理がインドを訪問した記事を挙げ、日本が報道しない“隠し事”について語っています。
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岸田総理インド訪問にみる海外との報道の乖離
このメルマガを書いているのは3月19日午後8時ですが、これから岸田総理とインドのモディ首相の首脳会談が開かれます。
この会談の結果が日曜日にどう報道されるのか分かりませんが、事前報道を検索すると以下のような表題が並びます。
「岸田首相が向き合う全方位外交のインド ロシア離れを迫れるか Asahi」
「岸田首相 きょうインドを訪問 モディ首相と会談 NHK」
「日印首脳会談 岸田首相、対露インドつなぎ留め Sankei」
多少の差はあれ似た表題です。報道内容も最大公約数的に以下です。
岸田首相は19日午前インドとカンボジアを訪問するため、政府専用機で羽田空港を出発した。同日午後にインドのモディ首相と会談し、ウクライナ情勢などについて意見を交わす。
首相は出発に先立ち、同空港で記者団に「ロシアによるウクライナ侵略は国際法違反の暴挙で許してはならない。膝を突き合わせて意見交換を行い、国際社会の結束をしっかり確認したい」と語った。
インドでは、日米豪印の枠組み「Quad」(クアッド)の首脳会議が今春にも日本で開催されるのを前に連携強化を図る考えだ。
インドはロシアと伝統的な友好関係にあり、対露圧力強化でどこまで歩調をあわせられるかが焦点となる。
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【解説】
誰でも予想できるような内容です。ところが、同じ岸田首相のインド訪問についての報道でも香港サウスチャイナモーニングポストには以下のような事が記されています。
インドと日本は現在、安全保障関係を発展させようとしている。首相同士の首脳会談とは別に、インドと日本は定期的に外務大臣と防衛大臣による「2プラス2」会議を開催している。
インド空軍は今年、ロシア製のスホーイSu-30戦闘機部隊を日本に派遣し、石川県の基地から航空自衛隊のF-15イーグル戦闘機と合同演習を行う計画 があると報じられている。
日本の航空自衛隊のパイロットは、将来的に戦闘で出会った場合に備えて、この演習で中国も運用している同機とその能力について理解を深めたい と考えている 。
航空自衛隊は2018年12月に初めてインドでインド空軍の部隊と演習を行ったが、その訓練と翌年の同様の演習はもっぱら輸送とロジスティクスに関わるものであった。
両政府は2020年6月にインドで戦闘機による訓練を実施する予定だったが、コロナウイルスの大流行により2021年7月まで延期された。
インドがもつロシア製の戦闘機と日本の戦闘機を演習で戦わせる、そして中国の運用している同戦闘機の能力を確かめる、なんて計画が2020年にあって今年に延期されたと知っている日本人はどれぐらいいるでしょうか。
実際、こういった軍事関係の報道、大手新聞やTVはほとんどしていないと思います。
こういった報道をすること自体が日本の右傾化を進展させるとの懸念からでしょうか?
軍事がわからないと国際関係が理解できないという部分はあります。賛否は別として、こうった事も報道してほしいと思っています。
海外の人は当然こういった報道を読むでしょうから、日本と世界の世論との間に乖離が生まれます。そういった認識の乖離をなるべく減らすことも報道の役割です。
(この記事はメルマガ『在米14年&起業家兼大学教授・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』3月20日号の一部抜粋です。この続きをお読みになりたい方はご登録ください。初月無料です)
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