「株価はまだまだ下がる」ウクライナ侵攻で市場激変、最注目すべき米国株とは?

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FRBの利上げに加え、ウクライナ戦争が資源価格高騰に拍車をかけて、現在アメリカの株式市場は大きく下落していることは皆さんもよくご存じと思いますが、そんな中でもアメリカ株に投資を継続している方、ポートフォリオを見直したいという方に、今回は少しでも参考になればと思い、今注目の銘柄が集まっている業種についてお話をしたいと思います。

今、注目の株

まず一般的な話を申し上げると、今買いが入っている業種は2つ、一つは、旅行関連、と、次が、電気水道ガスなどの公益株です。

一つ目の旅行関連ですが、これは、完全にポストコロナに向けていずれ需要が回復する、と見られているセクターの株です。航空会社や、クルーズ船の運航会社、そしてカジノ運営会社などが、今押し目買いのタイミングと見る向きが強く、個人投資家の買いがかなり入っている様です。

そして二つ目の公益株ですが、消費者は光熱費の支払いは常に優先することから株価場全体の下落局面に強いと言われる、いわゆるディフェンシブ銘柄の代表ですが、先週の動きで申し上げると、S&P500の業種別の中で、公益セクターは月初以来3.4%高と、全体が4.6%下落している中で、セクターとして値上がり基調にあります。

また、公益株は配当も大きく、その配当利回りは3.03%、S&P500の1.39%を大きく上回っていることも今買いが入っている要因となっています。

最注目はエネルギー

そして、さらに注目を集めているのが、エネルギー銘柄です。

S&P500のセクター別の中で、エネルギーセクターの年初からの上昇率はなんと先週末現在37%高、S&P500自体が5.3%安ということを考えると圧倒的な上昇率と言って良いと思います。

また、今年のS&P500の銘柄の中での値上がり率上位25銘柄のうち、エネルギーセクターの銘柄がなんと17銘柄あり、その上昇率は、例えば、エクソンモービルは34%、シェブロンが40%、ハリバートンが62%、オキシデンタルペトロリアムは100%の上昇率で、現在これらのエネルギー銘柄が、特に3月に入って急激に買われている、最注目銘柄となっています。

エネルギー銘柄の売り時は

このエネルギー銘柄の人気は、明らかに原油高に連動していますので、いつ売るか、いつ下落するかは、次の3つの要因を良く見定めることが重要です。

  1. ウクライナ戦争がいつどの様な形で終息するのか
  2. 原油の需給バランスがどうなっていくのか
  3. 脱炭素、脱石化の動きがいつ正常化するのか

例えばウクライナ戦争が停戦交渉合意に達するなどがあれば、原油供給が増えると見られますし、また、イランへの制裁が解除されれば、これまた需給バランスが改善されると見られ、いずれも原油価格は下落し、同時にエネルギー株も下落に向かう、ということになります。

その意味では、最初の短期的な下落はこういったタイミングと思われます。

一方で、ロシアへの経済制裁は、ロシアが無条件降伏でもしない限りかなり長期に渡って続く可能性が高い訳ですが、そうなるとロシアからのエネルギー輸出は継続して減少します。

設備投資できずに老朽化が産業全体で加速するとも言われていますので、慢性的な原油高が継続する可能性も出てきます。

そして、長期的には、脱炭素、脱石化の動きがいつ本格的に復活するか、ですね。

個人的には、需給バランスと適正価格を見定めるのはウクライナ戦争が終わった後は極めて難しいこと、あとは、近年は原油先物市場に投機筋の資金が大きく流れ込んで、ますます原油市況=エネルギー銘柄の株価が読み辛くなってきていますので、今は買いかも知れませんが、中長期で保有するのは慎重にされることをお勧めします。

出典:メルマガ【今アメリカで起こっている話題を紹介】欧米ビジネス政治経済研究所

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